事業用土地の再評価の実施(土地再評価法の適用)
株式交換による三井不動産販売株式会社の
完全子会社化(100%子会社化)
および「ららぽーとスキードームSSAWS(ザウス)」の閉館について
平成14年3月1日 三井不動産株式会社
適時開示資料はこちらをご覧ください
株式交換による三井不動産販売株式会社の完全子会社化に関するお知らせ
(PDF : 28KB / 4P)
事業用土地の再評価の実施
およびららぽーとスキードームSSAWS(ザウス)の閉館に関するお知らせ
(PDF : 24KB / 3P)
当社は、2002年度を最終年度とする「グループ中期経営計画」の3ヵ年を「新たな成長基盤を確立し経営の方向性を定める期間」と位置付け、「成長性と収益性に富んだ21世紀の新しい三井不動産グループ」の創生に向け鋭意邁進しておりますが、その早期確立を加速すべく、本日の取締役会において、以下の事項を決定いたしましたので、お知らせいたします。
<本日の決定事項>
- 当社並びに主要子会社を含むグループ・ベースで「土地再評価法」を適用し、固定資産の土地帳簿価額を時価に評価替えいたします。
- 大・強化上の最重要子会社であり、東証一部上場企業である三井不動産販売株式会社を株式交換により100%子会社といたします。
- 当社連結セグメント内の施設営業事業であるザウス事業から撤退いたします。
以上の決定は、グループ内の再編・統合に向けた一環であり、グループ内の意思決定の効率化、意識の共通化を従来以上に促進し、グループ全体が有機的かつ効率的に結び付くことにより、更なる収益拡大を通じ企業価値の最大化を目指すものであります。
<土地再評価法の適用>
当社は、中期経営計画において「安定的に収益を拡大する資産ポートフォリオの実現」を戦略的課題として設定し、内部的には全ての対象資産を時価で管理すると共に、リニューアルや建替えによる既存ストックの性能向上、並びに既存ポートフォリオを補強する優良な新規開発事業への共同投資を実行して参りました。
この戦略的課題の早期達成には、新規投資による資産構成の充実に加え、資産構成の最適化に向けた更なる対応が必要であり、J-REITや不動産の証券化に象徴される新しい不動産投資市場が急速に形成されつつある現状に鑑み、当社グループ保有資産の有効な入替戦略を機動的に実行するための基盤整備が必要であると判断いたしました。
この観点に基づき、当社および以下の子会社を対象として、保有する固定資産の土地に関し「土地再評価法」を適用し時価評価を行い、帳簿価額を改定することといたします。
【適用対象の子会社】
三井不動産販売株式会社、三井ホーム株式会社および同社連結子会社2社、株式会社ららぽーと、港エステート株式会社、株式会社ガーデンホテルプロパティーズ
これにより、将来の期間損益に与える影響を軽減しながら入替対象資産を適宜売却していくことが可能になり、内部管理上の時価認識と簿価とのギャップもほぼ解消されるため、資産構成の最適化に向けた意思決定の自由度を大きく増していけると考えております。
この業務執行上の実質的な効果に加え、将来導入が予定されている「固定資産の減損会計」につきましても、かなりの部分で事前対応が出来たものと考えており、併せて財務諸表の信頼性と透明性も大幅に高められるものと考えております。
なお、評価に当たりましては、同法施行令の定めに則り、収益還元法をベースに一部の土地については取引事例・路線価等を勘案した鑑定価格を用いていますが、霞が関ビルに代表される借地権および建物等に係る部分は同法の適用対象外であるため、これを控除した土地の含み損益のみが簿価改定の対象となります。
改定による評価増および再評価差額金等の状況は以下のとおりであります。
社当社連結 | 資産の部 | 再評価前の帳簿価額 | 約7,500億円 |
---|---|---|---|
再評価前の帳簿価額 | 約10,150億円 |
||
(再評価差額 | 約2,650億円) |
||
再評価に係る繰延税金資産 | 約360億円 |
||
負債の部 | 再評価に係る繰延税金負債 | 約1,600億円 |
|
少数株主持分の部 | 約△160億円 |
||
資本の部 | 再評価差額金 | 約1,570億円 |
|
当社単独 | 資本の部 | 再評価前の帳簿価額 | 約5,080億円 |
再評価後の帳簿価額 | 約8,730億円 |
||
(再評価差額 | 約3,650億円) |
||
負債の部 | 再評価に係る繰延税金負債 | 約1,530億円 |
|
資本の部 | 再評価差額金 | 約2,120億円 |
<三井不動産販売株式会社の100%子会社化>
三井不動産販売株式会社は、リハウス・ネットワークをベースに仲介および販売受託を中核事業とする不動産流通業界のトップ企業でありますが、当社グループにおきましても、中期経営計画上最も伸長・強化を図るべき事業領域である「ノンアセット・ビジネス」の最重要子会社であります。
ノンアセット・ビジネスは、当社グループが有する不動産に関する全ての専門的能力・ノウハウ・ネットワークをフルに活用し、「不動産のサービス・プロバイダー」としてあらゆるお客様に付加価値を提供することにより安定的に収益を拡大する「資産管理型」、「ソリューション提供型」のビジネスであり、21世紀の不動産業のあらゆるビジネス・モデルを内包する事業領域と考え、戦略的な強化・拡大に意を尽くして参りました。
当社と同社は、この分野において極めて事業領域が近く、一部共通して同種の専門性やノウハウを有していますので、マーケットにおける現在の優位性を更に強固なものにするためには、同社との事業領域を再編成し、グループ内のシナジー効果を最大に高めていく必要があると考え、そのためには同社を完全子会社とすることが最良であるとの判断に基づき、株式交換の方針を決定いたしました。概要は以下のとおりであります。
<株式交換の概要>
- 株式交換の日程
- 平成14年5月下旬(予定)
両社 株式交換契約書 承認取締役会、
同締結 - 平成14年6月下旬(予定)
三井不動産販売株式会社 - 平成14年9月30日(予定)
三井不動産販売株式会社 株券提出期日 - 平成14年10月1日(予定)
株式交換の日
(注)当社は、商法第358条に定める簡易株式交換の手続きにより株主総会の承認を得ずに株式交換を行う予定です。
- 平成14年5月下旬(予定)
株式交換比率
当社は株式会社グローバル マネジメント ディレクションズ(アンダーセン)に、三井不動産販売株式会社は株式会社三井住友銀行に、それぞれ株式交換比率の算定を依頼し、その算定結果を参考に両社間で協議のうえ「当社1」対「三井不動産販売株式会社0.475」を株式交換比率といたしました。
なお、この株式交換比率は両社の資産状態または経営状態に著しい変更が生じた場合は、両社間で協議のうえ変更することがあります。(注1) 株式会社グローバル マネジメント ディレクションズ(アンダーセン)は、主に市場株価方式、修正純資産方式およびDCF方式により株式交換比率算定の基礎となる指標値を分析し、それらの結果を総合的に勘案することにより、株式交換比率を算定しました。
(注2)株式会社三井住友銀行は、主に市場平均株価法、時価純資産法およびDCF法に基づいて企業評価を行い、その結果を総合的に判断し株式交換比率を算定しました。その他
当社が保有する三井不動産販売株式会社の株式については割当を行いません。当社は、株式交換に際し、新株の発行により株式を交付する予定です。株式交換による当社の増加資本金および増加資本準備金の額は未定です。株式交換に伴う株式交換交付金の支払いは行いません。 なお、三井不動産販売株式会社は「土地再評価法」の適用により純資産が大幅に減少することが見込まれるため、今後の市場の更なる競争激化に備え、同社の財務体質を強化し、本業特化により成長を加速するための経営基盤を早期に創りあげる必要性に鑑み、当社に対して第三者割当増資を行います。概要は以下のとおりであります。
【第三者割当増資の概要】
- 発行新株式数
43,860,000株(普通株式) - 発行価額
20,000,160,000円(1株当り456円) - 割当先および株式数
当社全株式引受 - 増資後当社持株
101,722,792株(増資後シェア:81.69%) - 払込期日
平成14年3月22日
- 発行新株式数
今後の事業再編の方向性については、三井不動産販売株式会社のビル事業等アセットビジネスの機能はグループ内への移管を予定しておりますが、ノンアセット・ビジネスにおける重要領域であるコンサルティング、賃貸住宅事業は新たにグループ内で統合・再編すること、仲介・受託販売等不動産流通に関わる事業領域は同社に全て集約すること等を予定しており、来期中には全体制を確立すべく検討を急いでおります。
以上の一連の措置により、三井不動産販売株式会社は、不動産流通業を事業ドメインの中核に据え、リハウス・ネットワークをベースとする「21世紀型不動産ネットワークの最良かつ最強のプロバイダー」として当社グループの更なる価値創造に大きく貢献して参ります。
<ららぽーとスキードーム・ザウスの閉館>
ザウスは、平成5年に開場した千葉県船橋市所在の屋内人工スキー場ですが、ここ数年の景気低迷およびブームの沈静化等の影響により、年々来場者数や営業収入の減少が続いておりました。
当社といたしましては、営業強化やコスト削減など種々の改善努力をいたしましたが、ここ数年赤字傾向が顕著となったことに加え、将来の資本的支出等を考慮すると、これ以上営業を継続することは当社グループの価値創造に大きなマイナスになると判断し、本年9月末をもって同施設の全営業を停止し当該事業から完全に撤退いたします。なお、この決定により、同施設の耐用年数短縮に伴う過年度の減価償却不足額185億円を今期の特別損失に計上しますが、中間決算公表時の業績予想に既に織り込み済みです。
<三井ホーム株式会社の経営構造改革>
三井ホーム株式会社は、この中間決算公表時に大幅に業績修正し、通期赤字となりましたが、当社は、同社に対し、ホームビルダー業界の極めて厳しい市場環境、市場構造を前提に、コスト構造、営業体制など全てにわたり「創業的改革」の実行を強く求め、早期業績回復に向けたプランの策定を急がせて参りました。
本日三井ホーム株式会社が公表した「経営構造改革」の内容は、今期実行中の原価・経費の削減を継続しながら、同社が優位性を持つ三大都市圏および中高級路線に経営資源を重点配分することにより来期の黒字化を達成し、平成16年度以降連結営業利益50億円以上を安定的に生み出せる企業グループを目指すというものであります。
しかしながら、更なる市場構造の変化や競争激化を考えると、三井ホーム株式会社が市場での優位性を確固たるものに築き上げ、成長力に溢れた企業グループに進化するためには、この構造改革や役職員の意識改革を「創業的改革」として推進し続ける必要があり、当社は、同社が4月以降の新しい経営体制のもと、今回の決定事項の実行による具体的成果を基に、更に高い目標水準の達成に向けスピード感のある対応を重ねていくことを大いに期待いたしております。
なお、三井ホーム株式会社は、来期の黒字化に向けたこれら施策の実行に当り、FC会社関連等の特別損失を今期計上するため、併せて業績予想修正を行っております。
<今期の業績見込み等>
当社のザウス事業撤退ならびに三井ホーム株式会社の業績予想修正の影響を含む当社単独・連結の今期決算の業績見込みは以下のとおりであります。
【単独業績見込み】(単位:百万円)
売上 | 経常利益 | 当期純利益 | |
---|---|---|---|
今回見込み | 600,000 | 45,000 | 17,000 |
(参考)前回予想 (平成13年11月20日) |
600,000 | 48,000 | 19,000 |
(注)営業利益は670億円の前回予想が640億円に減益となります。
【連結業績見込み】(単位:百万円)
売上 | 経常利益 | 当期純利益 | |
---|---|---|---|
今回見込み | 1,155,000 | 68,000 | 34,000 |
(参考)前回予想 (平成13年11月20日) |
1,165,000 | 71,000 | 38,000 |
(注)営業利益は1,030億円の前回予想が1,000億円に減益となります。
なお、当社が保有する上場株式については、市場低迷の影響により金融株を中心に含み損が見込まれますが、減損の影響は本年3月の株価により確定するため、この決算の業績見込みには織り込んでおりません。
<今期当社が行った経営施策等>
当社は、「グループ中期経営計画」3ヵ年の中間年である今期、「成長性と収益性に富んだ21世紀の新しい三井不動産グループ」の早期確立に向けて、以下の経営施策を実行いたしました。
- 取締役人数の半数への削減
- 執行役員制度の導入
- 社外監査役の過半数への増員
- アドバイザリー・コミッティーの設置
- 自己勘定投資部門とサービス・プロバイダー部門との分離
- コンプライアンス態勢の確立
- 三井不動産建設株式会社の日東大都工業株式会社への譲渡
- 東証不動産投資信託証券市場への「日本ビルファンド投資法人」の上場
- グループ内資金調達の一元化による子会社貸付金制度の創設
当社は、この一連の経営施策と今回の決定を通じ「21世紀型の三井不動産グループ」として新たなスタートラインに立ったとの認識に立ち、お客様や株主の皆様に永続的に価値を創造していける企業グループとして更に進化・成長していくと共に、この成果の早期実現に向け鋭意邁進して参る所存であります。
以上