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三井不動産グループにおけるマンションのブランド戦略について

平成14年4月26日 三井不動産株式会社

 三井不動産は、各事業におけるパワーブランド化を目指すという方針のもと、マンション事業でもかねてから様々な施策を実行しておりますが、更にこれを推し進め、より「強力なブランド構築(パワーブランド化)」を目指すため、昨年来、「お客様志向」という観点を根幹に据えながら、マンション事業における企画・製造、販売、管理・アフターサービスという3つの全てのプロセスにわたって事業モデルの根本的な見直しに取り組み、具体的に「商品クオリティ(ハード)の向上」と「提供するサービス(ソフト)の向上」という二つの視点から、その実現プログラムを明確化した戦略の策定をいたしております。

 ここ数年のマンション市況は、各社が商品企画等を競い合い商品の質が格段にレベルアップするとともに、少子高齢化社会の到来に伴い小家族の都心居住というニーズが顕在化することで新しい市場創出がなされ、低金利と物件価格の低下というフォローウィンドを背景に、長引く景気低迷にもかかわらず、総じて順調に推移してまいりました。しかしながら、昨年後半以降、日本経済の先行き不透明感等を反映し、市況の一部には減速感も現れ、マンション市場は、既により厳しい目でお客様からの選別をうける大競争時代に突入しており、今後は真にお客様から評価されるものだけが生き残る厳しい環境が到来しつつあると当社では認識しております。

 したがって、真にお客様から評価されるものをトータルで提供する、つまり「お客様にとって付加価値の高い商品とサービスを提供する」ことによって、「お客様から高い評価を受け」「その結果として安定的な収益を達成する」という3つのバリューを連続的に実現することが、この厳しい市場環境のなかで生き残っていくための必要条件であり、まさにこれらの策定した戦略を達成していくこが、結果として市場環境での優位性の維持につながると考え、これを鋭意実行ならびに推進していくこととしております。

 具体的な戦略内容については添付資料に記載のとおりですが、三井不動産は今後もグループ全体でシナジー効果を生み出す最適なバリューチェーンの構築を念頭におきながら、各事業ドメインにおけるパワーブランド戦略を推進してまいります。

1.「三井不動産グループにおけるマンションのブランド戦略」サマリー

(1) 商品のクオリティ向上によるお客様満足度の向上

お客様にとって最も大切な「マンションのクオリティ」を3つのカテゴリーで定義。

[ 目に見えないクオリティ(LQ:レイタントクオリティ)]

躯体性能、耐久性、省エネ性能等、目で見て確認が難しい「基本性能」クオリティ

[ 感じるクオリティ(EQ:エクスペリエンシャルクオリティ)]

わあ、素晴らしい!と感動する「Wow!Factor」

[ 目で見えるクオリティ(OQ:オブジェクトクオリティ)]

内装仕上等、見てわかる「表面の仕上げ」

※ 従来、「品質」というと、仕上げ(OQ)に目が行きがちであったが、お客様にとって大切なのはOQだけではなく、LQとEQも含めたトータルのクオリティが高いレベルで達成されていることであり、これを達成する手法を再構築することとした。

[ LQ達成のためのTQPM手法の導入 ]

見えないクオリティ(LQ)達成のため「TQPM」と呼ぶ品質マネジメント手法を導入。(TQPMは、Total Quality Project Managementの略。総合的なクオリティを、プロジェクトにおいて達成していくマネジメント手法。)結果、国際品質規格(ISO 9001)に準拠したマネジメント実施につながる。

※ なお、従来からの「エコ仕様」も、省エネや建物耐久性の向上という点でLQの達成の一つであり、地球環境問題に適応していく当社の企業姿勢を実行していく施策として、引き続き普及させ、基本性能の向上を図っていく。

[ EQ達成のためのナレッジバンクの活用 ]

当社マンションのデザイン性を全体としてさらに高めていくために、社内にナレッジバンクと呼ぶシステムを構築。各プロジェクトのEQノウハウを共有しながら全物件展開を可能にする。

※ なお、当社マンションは分譲マンションで初めてグッドデザイン賞を受賞するなどの実績があるが、こういった実績は、EQが反映されたものの一例。

[ OQ達成のための内装施工基準策定 ]

「内装施工基準表」として、OQの品質水準を明確化する。 目に見える仕上げのどうしても発生する施工誤差について、予め誤差の範囲を部位別に数値で明示し、重要事項説明にて仕上げの許容範囲基準を明示する。

※ なお、上記諸施策を、各物件において確実に実施するため、組織改正の一環で都市開発第1、2事業部内には「CS事業室」を新設。同室内のCS事業課でご契約後の設計変更対応や工事状況報告などのお客様対応を担当。同じく品質マネジメント課でTQPMに基づく業務を行う。

(2) サービスの向上によるお客様満足度の向上

<三井不動産>

「オーナーズスタイリング(設計変更)」システムを構築し全物件で同対応を実施 この春より首都圏すべての物件で「オーナーズスタイリング」と名付けたお客様の住まい方にあわせたきめ細やかな設計変更対応を行なっている。(デベロッパーでは初めて) 販売スタッフ・施工スタッフが住戸ごとの設計変更内容をオンラインで確認できるITシステムもあわせて構築。(専属のインテリアコンサルタントが設計変更対応実施)

アフターサービス直営化のためのアフターサービスセンターの拡充 昨年4月以降社内にアフターサービスセンターを設け直接アフターサービスにあたる体制を首都圏と関西圏からとりはじめたが、その後、仙台・名古屋・福岡・広島に拡張。

<三井不動産販売>

ご購入者対応のための「カスタマーサポートセンター」の開設 ご契約いただいたお客様がご入居するまでの間のお問い合わせの専任担当として、ローンの変更やお引越しの手続きなどのサービスの向上に努めていく。インターネットを利用することによって、効率的かつ迅速で丁寧な対応を目指す。(4月から首都圏で順次対応を開始中)

<三井不動産住宅サービス>

管理サービスの向上のための営業拠点展開・品質管理課の設置等 首都圏では10箇所の支店・営業所を設け地域密着の拠点展開を推進しながら、管理業務の品質チェックを行うための「品質管理課」と管理員(ライフメイト)の採用・研修・指導を専属で行うための「ライフメイト室」新設。

<三社共同>

研修・教育対応の充実のためのマンション総合研修所設置 「三井不動産グループマンションアカデミー」として、開発・販売・管理トータルでの研修拠点の整備。(詳細は関連資料参照)

その他:広告戦略

これら一連の戦略を効果的に伝え、理解・浸透を充分図るためのコミュニケーション戦略として昨年末、施策の策定・実施を前提に、既にブランドデザインマニュアルを作成。物件ロゴマークの刷新等「CI」的な対応も含め、統一のブランドコミュニケーション(広告)ルールを敷いて広告展開を行っている。

※ 結果的に同じ広告量でより大きな効果を生むこと、逆に、同じ広告効果を達成するための費用を少なくしていくことを通じて広告費用全体を削減していくことも視野に入れた対応。

2.「同戦略」概念図


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