東京都として初めて、公有地再生に民間の活力を導入
「南青山一丁目団地建替プロジェクト」起工式挙行
平成16年2月23日 三井不動産株式会社
三井不動産株式会社では、当社を幹事会社とする「南青山アパートメント株式会社(出資会社:当社・大成建設株式会社・伊藤忠商事株式会社の3社)」が事業主体となり、事業参画者である株式会社ユージー都市建築、三井不動産住宅リース株式会社、三井不動産住宅サービス株式会社とともに、「民間事業者に70年間の定期借地契約で敷地を賃貸し、都営住宅と民間施設等を一体的に整備する」という、東京都住宅局による「南青山一丁目団地建替プロジェクト」に取り組んで参りましたが、本日、起工式を執り行いましたのでお知らせいたします。
当プロジェクトは、都市再生緊急整備地区(環状二号線新橋周辺・赤坂・六本木地域)に位置するとともに、政府の「『民間にできることは民間に』という構造改革の一環として、PFI手法の活用に一層積極的に取り組むこととする」という都市再生プロジェクトのひとつとして、昨年1月に民間都市再生事業第一号の認定を受け、東京都として公有地再生に初めて民間の活力を導入するPFI的手法による事業のモデルケースです。
当プロジェクトは、「都営南青山一丁目団地」の建替えに際し、都心で活動する人々に住まいを供給するとともに、活発な都市活動の維持・増進に寄与するために必要な施設を整備することを目的として、東京都住宅局より平成14年3月に事業予定者の募集(提案受付)が行われ、当社グループ(「青山Days」Creators)が選定され、同年10月に事業内容の合意を受け、基本協定を締結しスタートしております。
建築計画にあたっては、「都心居住の推進」「少子高齢化社会対策」「多様な都市活動層への支援」のキーワードのもと、都営住宅用地の高度利用を図ることにより、都営住宅、港区の公益施設(保育園・図書館)、高齢者グループホームおよび民間施設(賃貸集合住宅、商業・業務施設、都市活動支援施設(国際医療福祉大学大学院)等)から構成される多様な都市機能を持つ複合施設として計画し、今後の公有地活用による都市再生のためのリーディングプロジェクトを目指しました。
建設に際しては、南青山アパートメント株式会社が施設全体を一体的に設計・建設し、竣工後、東京都は都営住宅を、港区は保育園・図書館を、医療法人財団順和会(山王病院)は高齢者グループホームを買い取り各々運営します。民間施設については、南青山アパートメント株式会社が所有し賃貸事業用として運営します。また、建物共用部分の維持管理・修繕計画については、東京都、港区、高齢者グループホームおよび南青山アパートメント株式会社の4者が管理組織を設立し実施いたします。
配棟計画については、周辺環境を意識し、青山通り側にあたる敷地北側に商業・業務施設を含む46階建ての超高層タワー(N棟)と、敷地南側に都営住宅を中心とした14階建ての高層棟(S棟)の2棟構成としています。敷地周囲には潤いある緑のオープンスペースを設けるとともに、地域コミュニティの形成に寄与すべく、東側に隣接する都営住宅(都営南青山一丁目団地6号棟)との連携性を重視し、2棟の間にコミュニティ広場を配しました。また、安全性を配慮し歩車分離の動線計画にしています。
なお、開発にあたっては、南青山アパートメント株式会社が発行するメザニン社債を都市再生ファンド投資法人が引き受け、事業開始から安定稼動するまでの期間、金融支援を受ける予定であり、さらに、みずほコーポレート銀行より当プロジェクト竣工後のシニアローン実行のコミットメントを着工時に取得する予定にしております。不動産証券化においては、リスクがある程度明確になった時点(物件稼動後)での資金調達が一般的ですが、当プロジェクトについては、定期借地権設定時(着工時)の段階において当プロジェクトの資産およびキャッシュフローのみに依拠するノンリコース型資金調達を企図するものです。
当社は、日本初の超高層タワーマンション「三田綱町パークマンション(東京都港区)」を皮切りに、タワー型賃貸マンションの先駆けとなった「リバーポイントタワー(東京都中央区)」など、今まで数々の都心超高層タワーマンションを手掛けて参りました。また、都心部における良質な居住型賃貸住宅供給を目指した“パークアクシス”シリーズの開発やサービスアパートメント事業など、賃貸住宅事業をもうひとつの住宅事業の柱とすべく、多面的なアプローチを試みてまいりました。当プロジェクトの開発にあたっては、当社の賃貸住宅事業のブランドコンセプトである「レジデントファースト〜いちばんに、住む人のこと」の理念のもと、それらで培ってきたノウハウや実績を活かし、竣工後賃貸集合住宅を運営管理する三井不動産住宅リース株式会社および三井不動産住宅サービス株式会社も含めグループ力を結集するとともに、事業者である大成建設株式会社・伊藤忠商事株式会社、ならびに株式会社ユージー都市建築とも協力し、都心居住の豊かさ、都心に住むゆとり、その暮らしを見守る安心・安全を追求した新しい理想の都心生活スタイルの提案を目指して参ります。
以上
【施設概要】
- [都営住宅]
都営住宅については、居住環境に優れる敷地南側に配置しました。また、既存の都営南青山一丁目団地6号棟との連携性を重視し、地域コミュニティの形成に寄与するコミュニティ広場を2棟の間に配する計画としています。住戸計画としては、社会ストックとしてリニューアルに柔軟な対応可能なフレキシビリティの高い計画を提案しています。民間事業者が企画・設計・施工まで一貫して行う都営住宅として初めての試みです。 - [賃貸集合住宅]
賃貸集合住宅においては、「あたたかみのある自分らしい青山生活の満喫」をテーマに、幅広いライフステージ、ライフスタイルに対応した豊富なプランバリエーションを設定しました。具体的には、ファミリー・アクティブシニア層など、都会のアメニティを追及する層に対応する100m2前後のファミリータイプを中心に、シングル・DINKSなどの職住近接指向に対応した60m2前後のコンパクトタイプから、外国人および定住指向者向けの150m2超の大型住戸までの幅広いバリエーションになっています。また、住戸計画としては、変化の激しい都心生活におけるライフスタイルの変化や、将来必然的に訪れる社会的・物理的な建築・設備の機能劣化に対し、長期間にわたって対応できる技術的配慮として、設計・建築計画においてスケルトン・インフィル(SI)住宅の思想を採用しています。 - [保育園]
保育園は、敷地南側一階部分に配置しました。「少子化対策を見据え、子育て世帯、特に働く女性を全方位的に応援する駅前型保育の実施」を目指します。区立保育園としての新たな取り組みとして、11時間保育プラス3時間の延長保育およびスポット延長保育による長時間保育への対応、緊急一時保育・産休明け保育等の多様な保育ニーズへの対応、地域との幅広い連携をコンセプトの柱にすえています。 - [グループホーム]
高齢者グループホームは、高齢者が住み慣れた環境で暮らし続けることができるための地域施設です。9ユニット×2の計18ユニットを計画し、ここでは、医療法人財団順和会(山王病院)が、地域保険・医療・福祉の一環として運営し、また都市活動支援施設に入居予定の国際医療福祉大学大学院との連携も図ります。 - [図書館]
図書館は駅前のポテンシャルを活かし、商業施設・大学院との連携よる開かれた図書館を提案しています。加えて、ITの活用による検索・予約システム導入や、将来構想として、時間外貸出・返却について図書館機能の民間による業務補完も提案する予定です。 - [都市活動支援施設]
都市活動支援施設としては、高齢化社会への対応としての都心部における社会人等を対象とした保健・医療・福祉の生涯学習機能の不足に着眼し、この専門人材を育成する国際医療福祉大学大学院を予定しています。高齢者グループホームの運営主体である山王病院との系列関係を活かしつつ、働きながら学べる夜間授業、IT技術を駆使した遠隔授業、研究機会の提供を目指します。
【施設概要図】
【物件概要】
所在地 | 東京都港区南青山一丁目3番(住居表示) | |
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交通 | 営団地下鉄銀座線・半蔵門線、都営地下鉄大江戸線 「青山一丁目」駅徒歩1分 |
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事業者 | 南青山アパートメント株式会社(SPC・特別目的会社) 三井不動産株式会社・大成建設株式会社・伊藤忠商事株式会社の3社が出資 |
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事業参画者 | 三井不動産株式会社(開発業務)、 大成建設株式会社(設計・建設)、 伊藤忠商事株式会社(開発業務)、 株式会社ユージー都市建築(設計)、 三井不動産住宅リース株式会社(民間賃貸住宅入居者管理)、 三井不動産住宅サービス株式会社(建物管理) |
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敷地面積 | 約6,784m2 | |
主な施設 | 都営住宅 150戸 民間賃貸住宅 390戸 港区立保育園 約1,100m2 港区立図書館 約1,400m2 グループホーム 約500m2 国際医療福祉大学大学院 約1,400m2 商業・業務施設 約2,200m2 |
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事業スケジュール | 平成16年3月 | 着工(予定) |
平成19年3月 | 竣工(予定) |