三井不動産グループ長期経営計画
「新チャレンジ・プラン2016」(2007−16年度グループ長期経営計画)策定の
お知らせ
平成19年5月9日 三井不動産株式会社
当社は、「チャレンジ・プラン2008」(2003-08年度グループ長期経営計画)の目標であった利益成長と財務基盤の強化が前倒しで実現できたことを踏まえ、2007年度をスタートとする新たなグループ長期経営計画「新チャレンジ・プラン2016」(2007-16年度グループ長期経営計画)を策定いたしましたので、お知らせいたします。
1.「新チャレンジ・プラン2016」の背景と目的
「チャレンジ・プラン2008」につきましては、主眼とした営業利益が目標に達し、また、D/Eレシオが大きく改善するなど利益成長と財務基盤の強化を2年前倒しで実現することができました。また、当社グループのコアビジネスである「保有事業」、「開発事業」、「マネジメント事業」のバランスのとれた成長および都市再生への貢献におきましても、大きな成果を上げることができました。
一方、当社グループを取り巻く事業環境は、少子高齢化などの人口構造の変化、価値観の多様化による多選択社会の進展といった成熟社会への移行が急速に進んでいます。また、民間セクターの競争激化と公的セクターのスリム化、優良な資産ストックの増加、「貯蓄から投資へ」の流れの加速など、経済や資産ストックの面でも成熟化が進展しています。
こうした構造変化は、利便性が高く安全・安心な都市生活や、豊かなくらしにつながる多彩な選択肢へのニーズを一層高めます。また、優良な資産ストックの再生や、公的セクターを含む資産の有効活用・流動化ニーズに応えていくとともに、投資の受け皿として不動産投資市場を拡大していくことが今後一層求められます。
他方、不動産のクロスボーダー投資の拡大、企業活動のグローバル化による海外でのソリューション・ニーズの高まり、東アジア経済圏における都市間競争の激化、ビジネスマン・観光客をはじめとするインバウンドの拡大など、グローバル化も加速しています。
そのため、日本の都市の国際競争力を高めていくことに加え、J−REIT、機関投資家などの海外投資ニーズや、企業の海外でのソリューション・ニーズに応えていくことがますます重要になります。
このような社会・経済の構造変化を捉えて、「チャレンジ・プラン2008」の成果を基盤に、ビジネスモデルを革新し、「成長性と収益性に富んだ三井不動産グループ」の進化とあるべき姿を目指して、2007年度をスタートとする長期経営計画「新チャレンジ・プラン2016」を策定いたしました。
2.計画期間
社会・経済の構造変化を長期的視点から捉えるとともに、グローバルな事業展開を着実に進めていくため、計画期間は2007〜2016年度の10年間とし、前・後半に分け、それぞれ以下のとおり位置づけます。
(1)ステージI:2007〜2011年度
計画の方向性を定め、成長戦略を実現します。
この期間にコアビジネスである「保有事業」、「開発事業」、「マネジメント事業」を一層強化し、将来の成長分野を育成します。
(2)ステージII:2012〜2016年度
コアビジネスの更なる成長を図るとともに、育成した事業分野を大きな柱とし、グローバルな展開を本格化させます。
3.ストラテジー
(1)顧客志向の経営
- 顧客ニーズとマーケットの変化を多面的に捉えて、新たな価値を創造する、「不動産のソリューション・パートナー」として、顧客とともに進み、成長することを目指します。
- 魅力あふれる新しい街づくりに取り組む、価値創造のパートナーの地位を確立し、競争力を強化します。
-
ブランド価値の継続的な向上に取り組みます。
- オフィスビル ・・・「ワーカーズファースト」
- 商業施設 ・・・「ライフ・ソリューション・コミュニティ」、“Growing Together”
- 住宅・すまい ・・・「すまいとくらしのベストパートナー」
(2)ビジネスモデルの革新
- コアビジネスである「保有事業」「開発事業」「マネジメント事業」のバランスのとれた利益成長を目指します。
- 多彩な事業手法(D&A、T&A、事業受託、定期借地、PFI、M&Aなど)による展開を図ります。
- コアビジネスをバランス良く成長させるビジネスモデルによって、海外、リゾートなどの将来分野を育成してまいります。
(3)グループ経営の進化
- 事業分野の拡大に合わせた体制づくりを行います。金融商品取引法など法制の変化に即した体制整備を進めます、また、グループ内の連携を一層強化するとともに、顧客ニーズへの対応力を更に高めるため、グループ外との提携を拡充します。
- 人材の育成・能力開発・登用を推進します。人材は最も重要な経営資源であり、国内・海外・グループ会社で人材育成・能力開発を進めるとともに、優れた外部人材を確保します。また、女性、高齢者、外国人など多様な人材を登用します。
- グループレベルのリエンジニアリングを徹底し、高い付加価値の構築とコスト構造の見直しを追求します。
ストラテジー遂行の前提
|
4.コアビジネスの成長戦略
(1)保有事業
- 競争力と収益力の高いオフィスビル・商業施設などの新規稼動を進め、アセット収益力を強化します。
- 東京など安定市場への重点投資と並行して、地方・海外などへのエリア分散を図ります。
(2)開発事業
- 住宅分譲事業では、競争力に優れる大規模開発事業の推進と、年間7,000戸を供給する体制の早期達成を目指します。また、小家族・高齢者向け・リゾートなど商品・サービスのバリエーションを拡充します。
- 投資家向け分譲事業では、施設バリエーションと事業手法を広げて、事業機会の拡大を図ります。施設バリエーションの拡充にあたっては、グループ外との提携も強化します。
(3)マネジメント事業
- J−REITとプライベートファンドの更なる成長に貢献し、預かり資産の拡大を進めます。上記の投資家向け分譲事業の拡大と併せて、「不動産投資市場のNo.1カンパニー」として成長を加速します。
- サブリース事業やデベロップメントマネジメント事業、リニューアルやコンバージョンなどによる資産再生に向けたマネジメント事業などを、都心・地方を含めて強化します。
(4)都市再生
- コアビジネスを組み合わせて、日本橋、日比谷、飯田橋、五反田・大崎、豊洲、柏の葉キャンパスシティ、新三郷などで、魅力あふれる複合的な街づくりを積極的に進めます。
- 都心・首都圏に加え、関西・名古屋・札幌などで取り組みを強化するほか、地方中核都市でも都市再生、地域再生を推進します。
5.経営基盤強化と企業価値向上の主要施策
(1)企業価値の向上と資本政策
- ROEを中心に、その他の指標(ROAなど)も勘案した経営管理を行います。
- 財務の健全性を堅持しながら、利益成長の実現を目指します。
- 配当を業績連動型とし、配当性向は、当面、連結当期純利益の20%程度といたします。
- 財務状況、株価水準などを総合的に見極めながら、機動的な自己株式の取得を検討してまいります。
(2)コーポレートガバナンスの強化
- 社外取締役を1名から2名へ増員します。
- 役員報酬制度を見直し、役員退職慰労金を廃止する一方、報酬の業績連動性を高めてまいります。
(3)コンプライアンスと内部統制の徹底
- 財務報告に係る内部統制システムを確立し、その徹底を図ります。
- 信託受益権、私募ファンドなど、不動産証券化ビジネスを規制する金融商品取引法の施行に備え、グループ内の意識改革の徹底と体制強化を行います。
(4)CSRの実践
- 企業市民として、社会的責任を果たす活動を、引き続き推進します。
- 「&」マークの理念である「共生・共存」「多様な価値観の連繋」のもと、本業である都市再生を通じてCSRを強化してまいります。
6.10年後の姿と定量目標
(1)10年後の三井不動産グループ
- つぎのような企業グループへ進化することを目指します。 「社会・経済の構造変化を捉えて、ビジネスモデルを革新し、持続的な成長を実現する」 「グローバルなマーケットで不動産ソリューション・パートナーへと進化する」 「魅力あふれる街づくりを通じて、社会の発展と顧客の豊かなくらしを実現する」
- こうした進化の方向性、昨今の社会や企業をめぐる動向や環境変化を踏まえ、グループのビジョン・ミッションを改定いたします。
(2)3年後の定量目標等
- 3年目(2009年度)の目標をつぎのとおりとします。
09年度目標 | 06年度実績 | (参考)増減 | |
---|---|---|---|
営業利益 | 2,200億円 | 1,618億円 | 582億円(+36%) |
保有事業 | 950億円(41%)※3 | 753億円(44%)※3 | 197億円(+26%) |
開発事業 | 700億円(31%)※3 | 488億円(28%)※3 | 212億円(+43%) |
マネジメント事業 | 640億円(28%)※3 | 478億円(28%)※3 | 162億円(+34%) |
ROE ※1 | 9.5% | 8.3% | 1.2pt. |
D/Eレシオ | 1.4 | 1.3 | 0.1 |
(参考)ROA ※2 | 6.2% | 5.5% | 0.7pt. |
預かり資産残高 | 3.3兆円 | 2.35兆円 | 0.95兆円 |
※1 ROE = 当期純利益/期首期末平均自己資本(自己資本=純資産−少数株主持分)
※2 ROA =(営業利益+営業外収益)/期首期末平均総資産
※3 ( )は3事業(施設営業、完成工事、一般管理費等を加算・減算する前)の構成比
- ステージI終了時(2011年度)には、D/Eレシオ1.4程度を維持して、ROE10%を目指します。
以上
業績予想ならびに将来予想は、現時点で入手可能な情報に基づき、当社が判断した予想であり、潜在的なリスクや不確実性が含まれています。そのため、様々な要因の変化により、実際の業績は記述されている将来見通しとは大きく異なる結果となる可能性があることをご承知おきください。