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200年前の日本橋が克明に描かれた貴重な絵巻物
『熈代勝覧(きだいしょうらん)』の複製絵巻
「三越前」駅地下コンコース壁面に常設

平成21年11月30日
名橋「日本橋」保存会、日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会、三井不動産株式会社

 名橋「日本橋」保存会および日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会は、日本橋を訪れる人々に街の魅力を実感していただくために、約17メートルにわたる「熈代勝覧」の複製絵巻を、東京メトロ「三越前」駅地下コンコース壁面に本日設置しました。

 「熈代勝覧」絵巻とは、文化2年(1805年)頃の日本橋から今川橋までの大通り(現在の中央通り)を東側から俯瞰し、江戸時代の町人文化を克明に描いた貴重な絵巻物(作者不明)で、原画はベルリン国立アジア美術館に所蔵されています。今回の複製絵巻の設置により、日本でも「熈代勝覧」を鑑賞することが可能になりました。

 「熈代勝覧」とは、「熈(かがや)ける御代の勝(すぐ)れたる景観」という意味で、本絵巻には「熈代勝覧 天」と記載されており、「天地人」の全三巻の可能性がありますが、他の巻は現在所在不明です。題字は当時著名な書家であった佐野東洲の描いたもので、絵巻には沿道にある88軒の問屋や店に加え、行き交う1,671人、犬20匹、馬13頭、牛4頭、猿1匹、鷹2羽ならびに屋号や商標が書かれた暖簾、看板、旗、などが克明に描かれています。なお、1806年の「丙寅(ひのえとら)の大火」で建物の多くは焼失したとされており、その直前の貴重な記録といえます。

 名橋「日本橋」保存会および日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会は「熈代勝覧」を日本橋の歴史、文化を後世に伝える貴重な作品と捉え、ベルリン国立アジア美術館から制作、設置の許可を得て、江戸東京博物館による全体監修のもと複製いたしました。

 複製絵巻の絵画部分は、江戸東京博物館が所蔵するカラーポジフィルムから約1.4倍に拡大した印刷用の画像データを作成し、原画を忠実に再現するため和紙にも鮮明な印刷が可能なプリンタを使用し、和紙8枚に出力した後、1枚仕立てに加工しました。絵画を囲うパネルには、建物や職業、商売など江戸時代の町人文化に関する解説を記載しています。


「熈代勝覧」複製絵巻(全景)


原画を忠実に複製した絵画部分(日本橋周辺)


江戸時代の町人文化に関する解説を記載したパネル

 名橋「日本橋」保存会、日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会および三井不動産(両会の会員企業)は、日本橋地域において「残しながら、蘇らせながら、創っていく」をコンセプトに、日本橋の活性化と新たな魅力の創造を目的とした活動「日本橋再生計画」を官民地元一体となって推進しております。
 「熈代勝覧」は江戸時代の文化を語る貴重な歴史・文化資源となるものであり、複製絵巻の設置により、日本橋を訪れる人々に街の魅力を実感いただくことで、日本橋地域活性化に寄与することを期待しています。

「熈代勝覧」複製絵巻に関するお問い合わせ先
名橋「日本橋」保存会 事務局 (株式会社三越日本橋本店内) 担当:永森、福島
TEL:03-3274-6263
名橋「日本橋」保存会公式サイト http://www.nihonbashi-meikyou.jp/

【「熈代勝覧」複製絵巻 概要】

事業者 名橋「日本橋」保存会、日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会
(三井不動産は両会の会員企業です。)
概要 全体サイズ 長さ16.8m×幅1.53m
絵巻の前面にガラスを設置し、上部からLEDで内照
原画(長さ12.3m、幅0.43m)の絵画部分(長さ10.55m)を約1.4倍に拡大した画像を和紙に出力し、東京都江戸東京博物館の協力監修により制作。
制作協力 東京都、中央区、国土交通省東京国道事務所、東京メトロ、三越、
三井不動産、小津和紙、地元町会、他
開設時間 地下コンコースの開設時間帯(4:40 〜 24:30)
見学費用 無料
設置場所 東京メトロ銀座線、半蔵門線「三越前」駅 地下コンコース内
(日本橋三越本店本館 地下中央口付近)

【「熈代勝覧」参考資料】

「熈代勝覧」絵巻とは

  • 文化2年(1805年)頃の江戸日本橋から今川橋までの大通り(約700m)を東側から俯瞰、当時の江戸町人文化を克明に描いた作品(作者不明)で、原画はドイツのベルリン国立アジア美術館に所蔵されています。
  • 約20年前にドイツで発見された原画は、当初中国の絵巻と考えられていましたが、ベルリン国立アジア美術館の調査研究により、すばらしい内容の日本美術と鑑定されました。
  • 「熈代勝覧」とは、「熈(かがや)ける御代の勝(すぐ)れたる景観」という意味で、本絵巻には「熈代勝覧 天」と記載されており、「天地人」の全三巻の可能性がありますが、他の巻は現在所在不明です。
  • 題字は当時著名な書家であった佐野東洲のもので、絵巻には、沿道にある88軒の問屋や店に加え、行き交う1,671人、犬20匹、馬13頭、牛4頭、猿1匹、鷹2羽、ならびに屋号や商標が書かれた暖簾、看板、旗、などが克明に描かれています。
  • なお、文化3年(1806年)の「丙寅(ひのえとら)の大火」で建物の多くは焼失したとされているので、その直前の貴重な記録ともいえます。

原画(写)


(上記画像:ベルリン国立アジア美術館所蔵「熈代勝覧」の一部)

「熈代勝覧」の描く範囲


(出典:『熈代勝覧』の日本橋 、小学館出版、小澤弘、小林忠著)
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