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最先端ユビキタス技術を活用した
顧客・来街者向けサービスの試験運用開始

平成22年9月3日 YRPユビキタス・ネットワーキング研究所、三井不動産株式会社

 YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 ※1(東京都品川区 所長:坂村 健・東京大学教授/T-Engineフォーラム会長/ユビキタスID センター代表)は、三井不動産株式会社(東京都中央区 代表取締役社長:岩沙 弘道)と共同で、三井不動産株式会社が保有する施設への導入に向け、最先端のユビキタス技術およびユビキタスIDセンター ※2 が標準化を推進しているucode ※3 /ユビキタスID技術を活用したサービスの開発を進めてまいりました。この度、上記の活動の一環として、9月4日(土)から9月20日(祝)の間、ららぽーと柏の葉においてそのパイロットサービスを実施致します。

 今回のパイロットサービスは次のとおりです。

  • Let'sサイネージ:次世代デジタルサイネージサービス
  • インフォスコープ(InfoScope):最新のAR(Augmented Reality:拡張現実感)技術を利用し、これからの建築予定のビューを示すサービス

また、今回次のサービスを開発致しましたので、あわせてご紹介させて頂きます。

  • スマートパーキング:UWBアクティブタグによる高精度測位を利用した駐車位置確認サービス

 今回構築したサービスは、総務省 平成21年度ICT経済・地域活性化基盤確立事業(「ユビキタス特区」事業)の一つである「人々の安心・安全を実現するユビキタス情報基盤:Location Grid」で確立した基盤システムを利用しています。

 三井不動産株式会社では、更なるサービスの向上を目指し、今回のようなユビキタス技術を活用したパイロットサービスによる実証を踏まえて、同社が保有する施設等への導入を検討していきます。

1. Let's サイネージ(次世代デジタルサイネージサービス)

9月4日(土)から9月20日(祝)の間、来街者へのサービス向上、回遊性向上、さらには柏の葉地域全体の活性化などを最終的な目標として、ららぽーと柏の葉において、次世代デジタルサイネージ端末(Let'sサイネージ)を利用した、一般来街者、テナント参加型のイベントを開催致します。
当社のLet'sサイネージには、次のような特長があります。

  • サイネージ端末にucodeQR ※4 が印刷された冊子やチケット、ちらしをかざすと、そのucodeQRに応じて個々に違う情報をご紹介します。
  • ライブカメラのライブ映像に情報を重ねるAR(Augmented Reality: 拡張現実)機能を提供します。
  • 場所情報発信支援サービス「ココシルかしわのは」と連携し、施設管理者、テナント、来街者がリアルタイム性の高い「旬」な情報を発信し、更に相互に行動喚起を促す情報共有をサポートします。

本イベントでは、Let'sサイネージ端末をららぽーと柏の葉館内の1階から3階の主要なポイント15箇所に設置し、主に来街者を対象とした、次の7つのサービスを提供致します。来街者は冊子等の印刷物に掲載されたucodeQRをLet'sサイネージ端末にかざしたり、タッチパネル画面を操作したりすることで、今・この場所に適した情報を簡単に観ることができます。

Let'sサイネージの7つのサービス

  1. ららぽーと案内サービス
    館内の店舗を紹介する小冊子に印刷された店舗用ucodeQRをサイネージ端末にかざすと、サイネージ端末の後方に設置されたライブカメラが向きを変え、その店舗に向かう方向の実際の映像と、進むべき方向の矢印をライブ映像に重複表示して、来街者を店舗まで誘導するサービスです。
  2. 店舗発リアルタイム情報サービス
    店舗ごとにおこなうタイムサービスや人気商品の残り点数など、テナント自らが来街者に向けてリアルタイムに情報発信するサービスです。
  3. 投稿ひろば
    館内の店舗やレストランなどに置かれたスタンドに印刷されたucodeQRを携帯電話で読取り、一般来街者の方がその場所に関する「ココが好き」を投稿できるサービスです。投稿された内容はサイネージ端末および地域ポータルサイト「ココシルかしわのは」で参照することができます。
  4. クイズラリー
    ららぽーと柏の葉を5つのエリアに分割し、それぞれのエリアで出題される5問のクイズに答えてスタンプを集めるクイズラリーです。例えば、「○○の店舗の看板の色は?」など、その店舗(場所)に行けば簡単に正解がわかるようなクイズを中心に出題しているため、お子様からお年寄りまで誰もが簡単に参加できるクイズラリーです。
  5. 駐車位置確認サービス
    来街者が車に戻る際に駐車場の停車位置まで誘導するサービスです。来街者は車を降りた際に近くにある駐車カードを取ります。駐車カードには駐車エリアごとに異なるucodeQRが印刷されており、それによってエリアが識別できます。来街者は駐車場に戻る際にそのカードをサイネージ端末にかざすと、駐車位置まで簡単に戻ることができます。
  6. 店舗情報サービス
    店舗名称、カテゴリなどの店舗基本情報やクーポン情報、本イベントのために収集した「店長さんのココだけ内緒話」など、店舗に関するさまざまな情報を提供するサービスです。
  7. イベント情報サービス
    ららぽーと柏の葉やその周辺地域で実施されるイベント情報を提供するサービスです。

この他、一般の方が来街する前後に自宅のPCなどを介して情報を得られるインターネット上の地域ポータルサイト「ココシルかしわのは」を提供しています。「ココシルかしわのは」では、デジタルサイネージ端末で提供されている「店舗発リアルタイム情報」ならびに「投稿ひろば」など、テナント、一般来街者からの投稿メッセージを中心に情報を提供しています。

2. インフォスコープ:AR技術を利用した建築計画建物紹介サービス

YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は、ライブカメラのライブ映像に非常に高い位置精度で情報を重ねあわせる事を可能にするシステム インフォスコープ(InfoScope)を開発いたしました。これは、最先端のAR(Augmented Reality:拡張現実感)技術の一つで、ディスプレイにカメラが装備された固定式の端末を利用し、この端末のカメラを向けたライブ映像に、CG(Computer Graphics)や文字情報などを重ね合わせて表示することができます。従来型の携帯電話等で実現されているような、カメラのラフな方向に応じた情報の重ね合わせではなく、映像上のオブジェクトにぴったりと情報を重ねあわせることを実現しています。
今回、このインフォスコープを使って、柏の葉キャンパス駅前148街区を対象とした建築計画建物紹介サービスを開発致しました。インフォスコープ端末のカメラを建築計画中の場所に向けると、建築予定のビルが、今まさにそこに建っているかのようにディスプレイに表示されます。また、既存のビル、建築計画中のビルなどを対象に、そのビルの名称やどのような店舗や施設が入っているのかなど、付加的な情報も合せて提供致します。
本システムについては、周辺地域の住民・勤労者・学生ならびに移転を検討されている商業施設・住民等に向けて柏の葉地域の建築計画などをわかりやすくお伝えすることを目的に、柏の葉キャンパス駅前での導入を検討しています。

3. Smart Parking(UWBアクティブタグによる高精度測位を利用した駐車位置確認サービス)

YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(以下、UNL)は、UWB(Ultra-Wideband)アクティブタグによる高精度測位を利用した駐車場位置確認システム(スマートパーキング)を開発致しました。スマートパーキングは、既に建設済の既存の駐車場であっても、最小限の機器設置と短期間の簡単な工事だけで、低コストで広域なエリアをカバーできる、最新の駐車位置確認システムです。車の停車位置を車室単位で識別することが可能で、識別された車の位置情報はクラウドで一元管理し、利用者はデジタルサイネージ端末や携帯電話を利用して駐車場のどの位置に車を停めたのかを簡単に確認することができます。
このスマートパーキングを実現している技術が、UNLが世界をリードするUWBアクティブタグによる高精度測位システムです。利用者はUWBアクティブタグの入ったスマートチケットを車内におけば、駐車場に設置されたUWB受信局がスマートチケットの電波を受信し、車の駐車位置を高い精度で自動的に識別します。
今後、本システムの導入に向けて、段階的に試験運用等を実施していく予定です。


上記でご紹介したシステムについては、総務省 平成21年度ICT経済・地域活性化基盤確立事業(「ユビキタス特区」事業)の一つである「人々の安心・安全を実現するユビキタス情報基盤:Location Grid」で確立した基盤システムを利用して構築しています。ユビキタス情報基盤「Location Grid」とは、場所マーカーやセンサー等を活用して、何処で、何が起きているかを包括的に把握し、施設内の個々の場所に関する情報を管理する基盤システムで、平成21年度には、ららぽーと柏の葉施設内で基盤システムを構築し、その基盤を利用して、火災や地震などの災害発生時に災害の状況や今いる場所から最適な避難ルートを提供するための「安心・安全サービス」と、来街者が車を停めた場所まで携帯端末を介して誘導をおこなう「駐車位置確認サービス」の実証実験をおこないました。

※1 YRPユビキタス・ネットワーキング研究所
YRP ユビキタス・ネットワーキング研究所は、身の回りのあらゆるモノや場所に、通信能力を有するマイクロコンピュータやセンサー、アクチュエータ等が埋め込まれ、それらが相互に情報交換を行いながら協調動作し、人間生活をより高度にサポートする、ユビキタス・コンピューティング環境を構築すること、更にその基盤となる次世代通信プロトコルを確立することを研究しています。
ユビキタスとは、もともとラテン語で「遍在する」という意味で、身の回りのいたるところにコンピュータが埋め込まれ、そのものが何であるかを意識せずに、「いつでも、どこでも、だれでも」がそれらを活用できる、という概念をさします。

※2 ユビキタスID センター
ユビキタスID センターは、「モノ」や「場所」を自動認識するための基盤技術の確立と普及、更に最終的にはユビキタス・コンピューティングの実現を目標に活動しています。主な活動内容は次の通りです。

  1. 「モノ」や「場所」に付与するID 体系ucode の構築
  2. ucode を利用するための基盤技術の確立
    • ucodeを格納するデータキャリアデバイス(RFID、Smart カード、アクティブチップ、など)
    • データキャリアデバイスと通信する装置(ユビキタス・コミュニケータ)
    • ucode と関連する情報を検索する情報通信基盤技術の確立
  3. ucode とそれに結びつけられた情報を流通させるセキュアな広域分散システムの基盤技術の確立
  4. ucode空間の割り当て
  5. ucode 解決データベースの運用
  6. eTRON 認証局の運用

※3 ucode
ucodeとは、あらゆる「モノ」や「場所」に世界で一意の番号を付与するための識別子です。あらゆるモノや場所に固有の番号(ucode)が付与されるようになると、同種の商品であっても、いつ作られたのか、どのような配送ルートを通ったのかなど、モノ固有の情報を管理できるようになり、場所であれば、その場所に応じた情報提供をおこなうことができるようになります。また、ucode は、誰がどこで読み取っても、必ず特定のモノや場所を識別できるような世界で一意の番号になっているため、複数の企業や国をまたがって共通に利用することができます。

※4 ucodeQR
ucodeを実際の「モノ」や「場所」にくくりつけるためのデバイスをucodeタグと呼びます。ucodeタグとして、RFID、スマートカード、アクティブチップなど、さまざまなデバイスを包括的に扱うことができますが、このucodeタグのうち、QRコード(2次元バーコード)にucodeを格納したものをucodeQRと呼びます。ucodeQRは、紙などに印刷して貼り付けることで、モノや場所に簡単にucodeを付与できるという特長があります。また、電子署名を組み合わせることによって、正規の発行者による情報かどうかを検証し、署名が正しい場合のみ情報を取り出せるような仕組みを提供しています。