超高層マンションにおける免震構造の採用など
三井不動産レジデンシャルのマンション防災基準を強化
防災基準強化のモデルプロジェクトは
「パークタワー東雲」、「パークタワー梅田」
平成23年12月15日
三井不動産レジデンシャル株式会社、三井不動産住宅サービス株式会社
三井不動産レジデンシャル株式会社は、震災後、生活者の中でますます意識の高まりを見せる、地震を始めとする災害にいかに備えるかという課題に対して、当社のマンションの災害対策のあり方を再検証し、今後開発するマンションの防災基準を強化※1することを決定しましたのでお知らせいたします。
当社ではマンションに関する様々な災害対策を、災害時に居住者に与えるリスクの大きさや目的に合わせて分類し、それぞれの対策を検討、実施しておりますが、今般、この対策を以下のとおり強化することとしました。
<防災基準強化項目>
- 災害発生時に居住者の生命や財産を守るための対策
免震構造の採用、長周期地震動対応、エレベーター対策、家具転倒防止対策など - 災害発生後に居住者のライフラインを確保するための対策
電気の確保、水の確保、液状化対策など - 災害発生後に各居住者による共助活動を円滑にするための対策
防災備品・防災倉庫の設置、震災マニュアル作成など
具体的な防災基準の強化策としては、超高層マンションにおける免震構造の採用、長周期地震動対策を始め、液状化対策、防災設備、防災倉庫など様々な面で強化を図ることで、マンションにおける安心・安全なくらしの提供を図ってまいります。
この度の強化策は、平成26年に竣工予定の「パークタワー東雲(総戸数585戸・東京都江東区)」、平成25年竣工予定の「パークタワー梅田(総戸数230戸・大阪府大阪市北区)」を始め※2、当社のマンション「パークホームズ」「パークシティ」「パークタワー」「パークコート」など各シリーズにて実施される予定です。
パークタワー東雲 完成予想図 |
パークタワー梅田 完成予想図 |
【三井不動産レジデンシャル マンションの新しい防災基準概要】
1.災害発生時に居住者の生命や財産を守るための対策
地震動などにより、マンション居住者の生命や身体、財産に被害を与える最も大きな災害リスクを防ぐために以下の対策を行ないます。
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免震構造の採用※3
地震動の規模や特性によっては高層部の揺れが大きくなる可能性がある、建物の高さが60m超の超高層マンションに免震構造を採用します。
<耐震・制震・免震構造概念図>
▲クリックすると拡大します -
長周期地震動対応
長周期地震動は震源地より遠方まで地震動が伝わるのが特徴です。超高層マンションは、建物固有の揺れが地震の揺れと共振し、増幅される可能性があるため、長周期地震動による被害が懸念されています。当社ではこの対策として、超高層マンションに関しては、東海地震、東南海地震、宮城県沖地震、南海地震等の海溝型地震、東海・東南海・南海の連動型地震などの大規模地震の地震動を想定し、長周期地震動を勘案した構造設計を行ないます。 -
エレベーター対策
地震動がマンションにおよぼす影響としてエレベーターへの影響も懸念されております。当社では、非常用エレベーターを設置する場合、ロープが絡まりにくいなど被害を受けにくく復旧がしやすい耐震クラス「S」(最上級)のものを採用します。 -
家具転倒防止対策
地震時に居室内の固定されていない家具等の什器が転倒することで居住者の生命や身体に影響を及ぼすことがあります。東京消防庁が、近年発生した大きな地震の負傷原因を調査したところ、約3割から5割の人が家具類の転倒や落下によりけがをしていることが分かりました。当社では、既に家具の設置が想定される洋室内の間仕切壁(住戸内の居室間を仕切る壁)に家具転倒防止下地を設置しておりましたが、今般、以下の通り対策を強化いたします。- 家具転倒防止下地設置範囲の拡大
家具の設置が想定される全ての住戸内壁面※4に転倒防止金具の取り付けを可能にする家具転倒防止下地を設置します。 -
低い位置での固定が必要とされるテレビ等への対策
書棚やタンスなどに比べて低い位置での固定が必要とされる大型テレビなどの設置想定位置に は、上下2段の家具転倒防止下地を設置します。
<書棚・テレビ固定用下地イメージ図> - キッチンの対策
冷蔵庫置場や食器棚設置想定位置についても家具転倒防止下地を設置します。
<食器棚・冷蔵庫固定用下地イメージ図> - 戸境壁の対策
住戸間の界壁である戸境壁は住戸内壁面の大部分を占めており家具の設置頻度も高い場所であるにも関わらず、これまで家具転倒防止下地を設置した事例はほとんどありませんでしたが、当社では戸境壁についても、以下のとおり家具転倒防止下地を設置いたします。
<乾式戸境壁の場合>
乾式戸境壁にビスなどを用いて家具を固定し、転倒防止用の金具を設置することは戸境壁の品質・性能等や維持・保全の観点から当社では今まで採用しておりませんでしたが、今回、乾式戸境壁にも専用下地等を用いて家具転倒防止用金具の設置が可能となりました。
具体的には、壁の石膏ボードを突き破らずに引抜き強度を確保できるビスを使用することや、金具取付け時の乾式戸境壁の品質・性能について法令および技術基準等に基づく耐火実験や煙漏れ実験、加震実験等の検証を行なった結果、乾式戸境壁への家具の固定が安全に行えることを確認できました。
また、専用の留め金具(三井不動産レジデンシャル発案品)をご入居時に提供する予定です。
<コンクリート戸境壁の場合>
あらかじめ家具転倒防止用金物受け(ネジ穴)を設置してからコンクリートを打設することにより、コンクリート戸境壁においても家具を固定できるようにいたします。
当社では独自に加震実験を行い、家具の固定が安全に行えることを確認するとともに、独自に施工実験を行い、家具転倒防止用金物受けの設置にあたり、鉄筋と干渉せずに簡易にセットできるなど施工性を向上させる手法を策定して対策を展開していきます。
<家具転倒防止下地・設置範囲イメージ図>
<乾式遮音戸境壁・コンクリート戸境壁イメージ図>
- 家具転倒防止下地設置範囲の拡大
2.災害発生後に居住者のライフラインを確保するための対策
災害発生後に地域インフラが復旧するまでの間、居住者が生活するのに不可欠な電気や水などのライフラインを確保することや、地盤の液状化によるマンション敷地内のインフラの損傷を低減させるために以下の対策を行ないます。
- 電気の確保
- 非常用発電設備、または太陽光発電設備と蓄電池を設置※5いたします。太陽光発電設備と蓄電池はテレビ、ラジオ、携帯電話など災害情報を入手するための情報機器を、エントランスホールなどの共用部で稼働させるために用います。
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非常用発電設備を設置しているマンションでは、燃料を法定より増量して備蓄することに加えて、防災センターの各設備、非常用エレベーター、給排水ポンプなどの設備機器の稼働スケジュールを組み、限られた燃料を計画的に有効活用すべく、3日間の稼働計画を立てます。
<設備稼働スケジュールの概念図>
- 水の確保
- 飲料水に関して各居住者の自主的な備蓄を促すと同時に、全居住者1日分の飲料水を共用防災備品で用意します。また災害発生後に停電などで給水ポンプが稼働せず各住戸に水が供給されない場合でも、地域インフラが復旧した場合には、管理人室など特定の共用部で給水ができるようにします。
- 災害による断水時に、雨水などを共用トイレの排水用に利用できるように、マンション内に非常用水貯留槽を設置※7します。災害時に全居住者が共用トイレを3日間程度使用できることを想定し各貯留槽に必要水量※8を常時確保します。
- 液状化対策
地震に伴う液状化現象によるライフラインの配管などへの被害を低減するために、液状化対策を強化します。対象物件の判定にあたっては、すでに行っているボーリングデータによる判定に加え、行政などが発行している液状化マップ、液状化実態調査のデータを参考に判断し、以下のような対策を講じます。-
ライフラインの確保に向けた対策
電気、水道、ガスなどのライフラインの配管および排水配管に「可とう継手」を採用し、配管に柔軟性を持たせることで、液状化現象で生じた地盤のずれによる損傷を低減し、地域インフラ復旧時には速やかに使用できるようにします。
<液状化対策概略図 給水(水道・消火栓)系統>
<液状化対策概略図 道路境界取り合い部>
※行政上の協議が必要となります。 - バリアフリー導線確保の対策
外構での対策として、車椅子や担架(ストレッチャー)などの移動や物資の運搬時を想定し、地盤対策を行なうことでバリアフリー導線を確保します。
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ライフラインの確保に向けた対策
3.災害発生後に各居住者による共助活動を円滑にするための対策
災害発生後、地域の医療機関、商業施設、公共機関などが再開するまでの間、居住者の自発的な共助による救助活動、応急手当、生活手段確保など集合住宅であることのメリットを生かした相互支援をサポートするため、以下の対策を行ないます。
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サポートポスト(防災倉庫)
- 居住者が集合できるエントランスホールや、上層階の共用施設などを「サポートステーション(災害対策拠点)」として機能できるように「サポートポスト(防災倉庫)」を設置します。
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「サポートポスト(防災倉庫)」は各住戸から概ね上下5階以内に設置します。
<防災倉庫(参考写真)>
- 防災備品
「サポートポスト(防災倉庫)」には、居住者同士で共助し合えるための備品として、カセットガス発電機、非常用トイレ、救助道具、階段用担架、ホワイトボード、ワンセグテレビ、土嚢などを建物規模に応じて設置します。 -
グループ連携による防災意識の啓蒙
三井不動産グループのマンション管理会社である三井不動産住宅サービスグループと連携し、防災意識の啓蒙活動を行なうことで居住者の防災意識を高め、災害時の自助、共助といった自発的な活動をサポートします。具体的には、防災啓蒙本や物件ごとの震災マニュアルの作成と配布、防災訓練、防災備品の維持管理などに関して管理組合のサポートを行なうことで、災害直後の安否確認、救助活動、情報管理・発信など居住者同士の共助活動を円滑化します。 また、三井不動産住宅サービスグループは現在管理業務を行っている既築物件に対し、物件特性に応じて同様の活動を順次実施して行きます。
今後も、「すまいとくらしの未来へ」というコーポレートステートメントのもと、上質な住まいの提供と新たな暮らしの提案に努めてまいります。
以上
※1:本リリースに記載された強化策は、平成23年12月以降に設計を開始する新築分譲マンションに原則として採用いたします。但し地盤の状況、敷地条件、建物計画などを勘案した際に有効でないと判断した場合や行政指導および今後行政による指針等が発表された場合は、取り組み内容を変更する場合があります。
※2:「パークタワー東雲」「パークタワー梅田」は本防災基準を策定する際のモデルプロジェクトであり、平成23年12月以前に設計を開始しているため、本防災基準の全項目を満たしている訳ではありません。
※3.6.7:該当する取り組みは、三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)での採用となります。
※4:GL工法(接着剤入り粘土圧着ボード貼り工法)の壁面は除きます。
※5:太陽光発電3kW以上、蓄電池1kWh以上の設備を三大都市圏で開発を予定するマンションに採用いたします。
※8:非常用水貯留槽の水量は、1日3回、1回あたり1人6リットル、1住戸平均家族数3.5人(住戸面積が小さい場合は1.5人)が3日間使用することを前提として、原則、住戸数分を常時確保します。
【「パークタワー東雲」物件概要】
所在地 | 東京都江東区東雲1丁目1番6(地番) | |
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交通 | 東京臨海高速鉄道「東雲」駅徒歩7分、 東京メトロ有楽町線「辰巳」駅徒歩10分、 東京メトロ有楽町線「豊洲」駅徒歩16分 |
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事業者 | 三井不動産レジデンシャル株式会社 | |
敷地面積 | 7,541.44m2(2,281.28坪) | |
延床面積 | 61,687.26m2(18,660.39坪) | |
構造・規模 | 鉄筋コンクリート造地上43階 | |
総戸数 | 585戸(他に集会室1区画、ゲストルーム1区画、保育所1区画等あり) ※集会室、ゲストルーム等の区画数については、変更される場合があります。 |
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専有面積 | 55.37m2〜90.35m2 | |
間取り | 2LDK〜4LDK | |
駐車場 | 323台(敷地内タワー式駐車場320台、敷地内自走式3台) ※他に来客用駐車場等あり |
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設計 | 清水建設株式会社 一級建築士事務所 | |
施工 | 清水建設株式会社 | |
管理 | 三井不動産住宅サービス株式会社 | |
スケジュール | 着工:平成23年7月 竣工:平成26年1月中旬予定 入居:平成26年4月下旬予定 販売開始:平成24年9月下旬予定 |
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物件HP | http://www.31shinonome.com |
<パークタワー東雲 完成予想図>
位置図
【「パークタワー梅田」物件概要】
所在地 | 大阪府大阪市北区扇町2丁目75番(地番) | |
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交通 | 阪急電鉄「梅田」駅徒歩11分、地下鉄谷町線「中崎町」駅徒歩3分、 地下鉄堺筋線「扇町」駅徒歩8分 |
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事業者 | 三井不動産レジデンシャル株式会社 | |
敷地面積 | 2,317.88m2(701.15坪) | |
延床面積 | 26,911.92m2(8,140.85坪) | |
構造・規模 | 鉄筋コンクリート造地上31階地下1階 | |
総戸数 | 230戸 | |
専有面積 | 54.35m2〜99.43m2 | |
間取り | 1LDK〜3LDK+N | |
駐車場 | 139台(敷地内機械式138台、敷地内平面 1台) ※平面1台は来客用 |
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設計 | 株式会社熊谷組 関西一級建築士事務所 | |
施工 | 株式会社熊谷組 関西支店 | |
管理 | 三井不動産住宅サービス関西株式会社 | |
スケジュール | 着工:平成23年7月 竣工:平成25年7月下旬予定 入居:平成25年9月下旬予定 販売開始:平成24年春予定 |
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物件HP | http://www.31umeda.com |
<パークタワー梅田 完成予想図>