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三井不動産グループ中長期経営計画
「イノベーション 2017」(2012〜2017年度グループ中長期経営計画)策定のお知らせ

平成24年4月9日
三井不動産株式会社

 当社は、2012年度をスタートとする新たなグループ中長期経営計画「イノベーション 2017」(2012〜2017年度グループ中長期経営計画)を策定いたしましたので、お知らせいたします。

1.「イノベーション 2017」策定の背景と目的

 当社グループは、2007年度にグループ長期経営計画「新チャレンジ・プラン2016」をスタートさせました。その後、2008年に発生したリーマンショックを契機とする金融危機とその後の世界同時不況、2011年の東日本大震災、欧州債務危機の深刻化などにより我々を取り巻く経済環境は大きく変化しました。またこの過程で、産業の空洞化、財政不安や社会保障問題、エネルギー供給不安など、我が国の構造的なさまざまな問題が浮き彫りになりました。

 加えて、国内市場の成熟化、市場のグローバル化の進展は、「新チャレンジ・プラン2016」で想定した以上に加速しており、今後、国内においては需要の「質」の変化、新たな成長分野の誕生、世界ではマーケットと顧客のボーダレス化の進行が予想されます。

  当社グループでは、金融危機発生後、2009年度から2011年度を危機対応期間と位置づけ、危機管理型の対策と新たな成長に向けた準備を同時並行で進めてきましたが、これらの事業環境の変化を踏まえ、次の時代に向けた価値創造のイノベーションを加速し、「成長性と収益性に富んだ三井不動産グループ」を実現するため、2012年度を始期とする新しいグループ中長期経営計画「イノベーション 2017」を策定いたしました。

2.重点戦略

当社グループが「新チャレンジ・プラン2016」で掲げてきた3つのストラテジー(顧客志向の経営、ビジネスモデルの革新、グループ経営の進化)の方向性を、今後の事業環境をふまえて、以下のとおり新たに設定します。

(1)顧客志向の経営

  1. 国内の社会・経済の成熟化に伴う顧客ニーズを捉えたソリューションの提供
  2. 顧客ニーズをグローバルに捉えたソリューションの提供

(2)ビジネスモデルの革新

  1. 「ハード」と「ソフト」の融合
    ・・・不動産という「ハード」とタウンマネジメントなどの「ソフト」の融合
  2. 異業種との連携による新しい価値の創造
    ・・・異業種のもつ技術・ノウハウとの融合による新たなビジネスモデルの構築
  3. 「コミュニティ」の創造・・・顧客満足度の高い良質な「コミュニティ」を創造

(3)グループ経営の進化

  1. スケールメリットの追求・・・より良いものをリーズナブルな価格で提供
  2. ワンストップ化の推進・・・より便利で幅広いソリューションを提供
  3. パートナー・ネットワーキング
    ・・・グループ企業および異業種のパートナーとのネットワーク強化

3.主要な取り組み

(1)国内事業の競争力強化

  1. 街づくりの推進
    「多機能、多彩なコンテンツの融合」、「コミュニティの創造」、「経年優化」の好循環による付加価値の高い街づくりを基本姿勢としつつ、安全・安心、サスティナビリティ、環境共生、快適性・効率性などの顧客ニーズに応えるため、さまざまなハードとソフトの組み合わせ、ICT技術の活用などを含めた「スマートシティ」に積極的に取り組み、より良質なコミュニティを創造することにより、魅力的な街づくりを推進します。
    (代表的プロジェクト)
    ・日本橋再生計画
    ・柏の葉キャンパスシティ  など
  2. 住宅事業の進化
    今後、拡大成長が見込まれる住宅流通・リフォームなどのストック型事業や、アクティブシニア向けの商品・サービスの開発に注力します。
    また、成熟化に伴う顧客ニーズの多様化・高度化を踏まえ、納得できる住まい選びや快適な暮らしの実現に向けて、顧客のパートナーとして、ワンストップでソリューションを提供する「三井のすまいモール」を展開します。
    さらに、顧客視点での新商品開発やスマート対応技術の導入促進、当社グループが供給した住宅の居住者に向けた住まいと暮らしに関するサービス「三井のすまいLOOP」の提供など、ハード・ソフト両面での取り組みを加速して個々の商品の競争力を向上させます。
  3. 投資家共生モデルの進化
    物流施設など新しいアセットクラスの開発、CRE・PRE提案やPFI・PPPなどの官民連携による不動産の流動化の促進、新しい投資商品の開発などにより、不動産と資金の両面で我が国の不動産投資市場を成長・活性化させます。これにより、当社グループの預かり資産の拡大を実現し、収益力の強化を図ります。

(2)グローバル化への取り組み

  1. 海外での事業展開
    欧米では、オフィスビル賃貸事業を中心に良質なポートフォリオの構築をめざします。アジアにおいては、経済成長と都市化の進展により需要が拡大する住宅分譲事業と、個人消費の成長を取り込める商業施設事業を中心に展開します。

    これらを実行するために、グループ内の組織体制や現地の有力なパートナー企業とのアライアンス等の事業基盤を整備したうえで、国・地域それぞれの経済情勢や発展段階などに合わせて、国内で培ったノウハウや事業実績などの強みや、今後推進する事業で得られる知見を活用します。
  2. クロスボーダー・ニーズに対するソリューション提供
    グローバル展開を加速させる国内顧客のパートナーとして、海外においてソリューションを提供します。また、日本での事業拡大ニーズ・余暇ニーズなどを持つ海外顧客に対して、国内でソリューションを提供します。

4.重点戦略および主要な取り組みの実現に向けての考え方

(1)コアビジネスのバランスのよい成長と利益実現

「保有事業」、「開発事業」、「マネジメント事業」の3つのコアビジネスを事業環境などに応じて柔軟に組み合わせて、利益を実現・成長させるとともに、効率性を高めます。

(2)リ・エンジニアリングの強化

既存事業の深耕や新規領域の開拓によるトップラインの拡大に加え、原価・経費の低減、共同調達や一括発注によるスケールメリットの追求など、グループ全体での取り組みにより、利益率を向上させます。

(3)健全な財務体質の維持

事業機会獲得の好機における機動的な資金調達を可能とし、かつ金融環境悪化時における資金調達の安全性を確保すべく、健全な財務体質を維持します。

5.定量目標

(1)定量目標・指標

2014年度の定量目標および2017年度の見通しは以下のとおりです。

  2014年度定量目標※1 2017年度見通し※1
営業利益 1,630億円 2,400億円以上
当期純利益 670億円 1,100億円以上
ROA ※2 3.8%程度 5.5%程度
D/Eレシオ 1.8程度 1.5程度
有利子負債 21,600億円 21,000億円程度

(※1) 2014年度および2017年度の利益・指標・有利子負債については、SPC連結考慮後の数字。
IFRSの強制適用による業績や指標への影響は考慮していない。

(※2) ROA = (営業利益+営業外収益) ÷ 期首・期末平均総資産

(2)投資計画(2012年度から2017年度までの合計)

  投資 回収 ネット投資額(※3)
国内/設備投資系 8,000億円程度 2,000億円程度 6,000億円程度
国内/販売用不動産系 24,000億円程度 24,000億円程度 ±0程度
海外/欧米・アジア 5,000億円程度 1,000億円程度 4,000億円程度
   

ネット投資額合計  10,000億円程度

(※3) ネット投資額=投資額—回収額

6.株主還元の基本方針

  • 中長期的な視点で、利益の再投資を通じた株主価値の向上と株主による直接的な利益還元の期待を総合的に勘案したうえで株主還元を行います。
  • 配当については、当面は安定的な配当を継続するとともに、将来の利益成長による配当水準の向上を目指します。

7.計画期間

計画期間は、2012年度から2017年度の6年間とし、価値創造と利益成長の継続的実現を図ります。計画期間の前・後半の各3か年における、それぞれの位置づけを以下のとおり定めます。

(1)2012〜2014年度(ステージI)

将来の成長に向けた投資と基盤整備を行います。

(2)2015〜2017年度(ステージII)

「グローバルなマーケットでの不動産ソリューション・パートナー」の地位を確立します。

以上