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通信ネットワークの向上を通じて未来を創造する
新会社『三井不動産ネットワークイノベーション株式会社』を設立
~都市部約2,000棟を対象としたインフラシェアリングから事業をスタート~

2025年7月1日
三井不動産株式会社
三井不動産ネットワークイノベーション株式会社

本リリースのポイント

  • グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」における「産業デベロッパーとして、社会の付加価値の創出に貢献」に基づき新事業領域として、新会社『三井不動産ネットワークイノベーション株式会社』を設立。
  • 大規模集客施設や大型複合オフィスビルでの試行検証を経て、2025年7月よりインフラシェアリングを起点に、本格的に事業を開始。都市部に約2,000棟の施設を保有・管理するアセットホルダーと協働し、通信キャリア各社との連携を図ることによって、迅速かつ網羅的な通信ネットワークの課題解決に取り組む。
  • 三井不動産は、通信ネットワークの向上に連動した、新たな不動産価値の創造を、「ネットワークイノベーション事業」と位置付け、人口減少と超高齢化が迫る日本の社会課題に対して、豊かできめ細かな通信環境の実現から創造される魅力的なソリューションを提供する。

三井不動産株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 植田俊、以下「三井不動産」)は、通信ネットワークの向上を通じて未来を創造する新会社「三井不動産ネットワークイノベーション株式会社」(本社:東京都中央区、代表取締役:髙波英明、以下「三井不動産ネットワークイノベーション」)を設立したことをお知らせいたします。

三井不動産はこれまで、都市環境の向上や魅力的なまちづくりを目指し、アセットホルダー(施設保有管理者)、ゼネコン、各種オペレータ、他社デベロッパー(不動産開発者)など、多様なパートナーとの信頼関係を築いてきました。この強固なネットワークが通信業界と連動することで、これまで通信キャリアが大きな課題としていた「地権者との調整によるネットワーク拡張スピードの低下」を改善、加えてインフラシェアリング形式の採用により通信キャリアの負担を軽減し、都市部通信ネットワークの向上を、より円滑に進めることが可能となります。

また、三井不動産ネットワークイノベーションは、これら通信キャリアやアセットホルダー等と連携を図ることで生み出される、高性能な通信ネットワーク整備を「ネットワークイノベーション事業」と位置付け、新たな価値創出に向けた新産業創造に取り組みます。他業種間の調整を図り、連携を強化することで、効率的かつ省コストでの事業推進と、国内の通信ネットワーク全体の高度化に貢献してまいります。

今後、都市部で急増する通信トラフィックへの対策として、都市部約2,000棟の施設を保有管理するアセットホルダーと協働し、通信キャリアとの連携によるインフラシェアリング事業(※1)を起点に、産業デベロッパーの立場から、今後、通信業界が直面する課題の解決に向けて本格的に動き出します。

  • 1:都市部建物の内外に通信基地局を設置し、通信キャリアにシェアリング形式で提供することで、建物内部や周辺エリアの通信ネットワークの向上を図る事業



インフラシェアリングイメージ

■ネットワークイノベーション事業について

三井不動産ネットワークイノベーションが取り組む「ネットワークイノベーション事業」の主な内容は以下の通りです。

  1. インフラシェアリングの導入
    都市部建物の内外に通信基地局を設置し、通信キャリアにシェアリング形式で提供することで、建物内部や  周辺エリアの通信ネットワークの向上を図ります。
  2. 建物内の通信ネットワークの統合
    アセットホルダーである三井不動産と三井不動産ネットワークイノベーションが主体となり、都市部建物内における無線(5G、Wi-Fi等)および有線(光ファイバー等)の通信ネットワークの統合・最適化を図り、効率的に整備を進めます。建物入居者・利用者にとって有益となる高性能通信ネットワークの提供を目指します。
  3. 都市部通信ネットワークの向上と拡張
    アセットホルダー、ゼネコン、各種オペレータ、デベロッパーなど、多様なパートナーと連携し、さらに既存設備(光ファイバー回線)や次世代設備(衛星通信)等を積極的に活用することで、都市部の通信ネットワークを網羅的に、スピード感を持って拡張していきます。この拡張と並行し、アセットホルダーと通信キャリアの連携による高速通信ならではのDXサービスを創出し、施設利用者や来訪者にとって魅力ある通信ネットワークへと成長を図ります。

■インフラシェアリングの試行検証について

本格的な事業を始動するにあたり、当社グループ物件にて試行検証を行いました。

対象物件 大規模集客施設(スタジアム) 大型複合オフィスビル
所在地
東京都文京区

東京都中央区
主な課題 イベント時に数万人規模の来場者が来訪した際に、通信速度の低下や接続不良が発生しており、今後のトラフィック増加により更なる悪化が予測された 高周波電波(5G Sub6)(※2)は建物内部に届きにくい特性があり、今後、建物内部での通信ネットワークの悪化が予測される
主な用途 電子チケットやキャッシュレス決済の利用 高速、大容量通信の活用
対策・結果 共用架台型の屋外基地局を新設することで、イベント時の通信環境が大きく改善した 屋内に共用機型の基地局を新設し、建物内部に高周波電波(5G Sub6)のネットワークを構築した
  • 2:第5世代移動通信システム(5G)の周波数帯域の1つで、3.7~4.9GHzの周波数帯のこと

■国内における通信ネットワークの現状および課題

現在、通信ネットワークは都市環境や街づくりを担う重要なインフラの1つとなっています。近年ではスマートフォンやIoTデバイスの普及に伴い通信トラフィックの急増が課題となっており、昨年、総務省も5G(Sub6)の整備拡張方針を打ち出しています。今後はさらに進化を続けるAI、センサー、カメラ、モビリティ(自動運転)、ロボット等のデジタルテクノロジーの活用によって、通信トラフィックが急増することが予想されるため、より速やかな通信ネットワークの対策が必要となります。

商業施設、オフィス、ホテル、アリーナなど、多くのご来場者やご利用者をお迎えする施設を保有・運営する三井不動産グループにおいても、通信ネットワークの迅速な向上は大きな課題であるとともに、当社のみならず、日本社会の課題としてその解決に向けて取り組む必要があると考えます。

■三井不動産ネットワークイノベーションの今後の展開

まずは、都市部に約2,000棟の施設を保有・管理するアセットホルダーと協働し、通信キャリア各社と積極的な連携を図ることにより、都市部通信ネットワークの課題解決に取り組みます。

また三井不動産は、この通信ネットワークの向上を通じ、不動産事業のあらたな価値向上を生み出す「ネットワークイノベーション事業」に取り組むことで、今後、増大が予測される通信トラフィックへの対応や災害時の通信不良への対策のみならず、今後、日本が直面する人口減少や超高齢化等の社会課題に対して、豊かできめ細かな通信環境の実現から創造される魅力的なソリューションを提供していきます。



三井不動産ネットワークイノベーションが目指す未来

■会社概要

会社名 三井不動産ネットワークイノベーション株式会社
所在地 東京都中央区日本橋室町三丁目2番1号
設立日 令和7年5月30日
事業内容 電気通信システム及び情報処理システムの企画、開発、製造、販売 及び賃貸並びに保守の受託
主要株主 三井不動産株式会社
資本金 1億円
代表取締役 髙波 英明

■三井不動産グループの事業提案制度「MAG!C」について

2018 年度に創設された制度であり、当社グループ社員一人一人の「妄想」を起点に、会社を巻き込み「構想」「実現」へ昇華させ、そのイノベーションにより「不動産デベロッパー」の枠を超えた「産業デベロッパー」というプラットフォーマーを目指すことを趣旨に開催しております。提案者が事業責任者となり、自ら提案した事業を推進することを原則としております。当事業は、「MAG!C」発の事業となります。

■三井不動産グループのサステナビリティについて

三井不動産グループは、「共生・共存・共創により新たな価値を創出する、そのための挑戦を続ける」という「&マーク」の理念に基づき、「社会的価値の創出」と「経済的価値の創出」を車の両輪ととらえ、社会的価値を創出することが経済的価値の創出につながり、その経済的価値によって更に大きな社会的価値の創出を実現したいと考えています。
2024年4月の新グループ経営理念策定時、「GROUP MATERIALITY(重点的に取り組む課題)」として、「1.産業競争力への貢献」、「2.環境との共生」、「3.健やか・活力」、「4.安全・安心」、「5.ダイバーシティ&インクルージョン」、「6.コンプライアンス・ガバナンス」の6つを特定しました。これらのマテリアリティに本業を通じて取組み、サステナビリティに貢献していきます。

【参考】
・「グループ長期経営方針」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/innovation2030/
・「グループマテリアリティ」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/approach/materiality/
・「& EARTH for Nature」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/business/development/earth/for-nature/

また、2025年4月に、街づくりにおける環境との共生宣言「& EARTH for Nature」を策定し、「環境」を自然と人・地域が一体となったものと捉え、豊かな「環境」を広げ、未来の世代へつなぐ街づくりを推進しています。 本宣言における重点課題として、「緑を守り育む」「水の魅力を生かす」「生態系を豊かにする」「地域の想いをつなぐ」「自然資源を循環させる」の5つを定めています。本リリースの取り組みは、「& EARTH for Nature」における重点課題の1つに貢献しています。