建築基準法の改正※1によって可能となった先進的な木造建築技術を活用
三井ホームが「桜の聖母学院小学校・中学校」の『木造』中学校校舎を竣工
~RC造の耐火建築物に火熱遮断壁を使用して、木造準耐火建築物を増築~
2026年2月13日
三井ホーム株式会社
三井不動産株式会社
三井ホーム株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:野島秀敏、以下「三井ホーム」)と三井不動産株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:植田俊、以下「三井不動産」)は、学校法人コングレガシオン・ド・ノートルダムが運営する福島県福島市の桜の聖母学院小学校・中学校の新たな中学校校舎増築を2026年2月に竣工したことをお知らせいたします。本件は、桜の聖母学院の小中一貫の教育環境を整備する目的に沿って、三井不動産が桜の聖母学院の土地活用に関するトータルコーディネートを行い、三井ホームが『木造』で中学校新校舎の設計・施工を手掛けることとなりました。新校舎は、耐火RC造※2の建物に火熱遮断壁等を使用して準耐火木造建築物を増築するという、令和4年の建築基準法の改正によって可能となった先進的な事例です。また、三井ホームで初めてSE構法※3と燃えしろ設計※4を採用することで、耐震性・耐火性に優れ、木のぬくもりを感じる空間を実現しました。地元福島県産の木材も活用することで、環境教育や地域の林業の活性化にも貢献しています。
本施設のポイント
- 建築基準法の改正後の先進的な事例となる、耐火RC造の建物への火熱遮断壁等の使用による準耐火木造増築
- 三井ホーム初となるSE構法と燃えしろ設計の組み合わせにより、優れた耐震性・耐火性と木質感を両立
- 福島県産木材を活用し、環境教育・地域貢献にも寄与
- 文科省の指針に沿った新しい時代の学びを実現する学校施設

新校舎 外観

木のあらわしで仕上げた交流ホール
1.本施設の特長
法改正により可能となった 「RC造への木造増築」の先進的な事例
本プロジェクトでは、学校側の「児童・生徒・保護者・職員がぬくもりや親しみを感じることができる校舎にしたい」という想いに応えるべく、既存の耐火RC造校舎に木造の新校舎を増築することとなりました。これは、令和4年の建築基準法改正※1により可能となった、耐火RC造建物への火熱遮断壁等を活用した準耐火木造建築物の増築の先進的な事例です。
木造建築には、炭素の固定による脱炭素への貢献(本施設の木材使用量は371m3、炭素貯蔵量は294t-CO2※5、スギの木(50年生)は583本分※6)の他、木の空間による心理面や学習面などへの好影響や、ウェルビーイングの向上も期待されています。教育施設での活用も親和性が高いと期待されるなか、桜の聖母学院の事例は教育施設における木造化の新たな可能性を示しています。

火熱遮断壁

木構造に接続された火熱遮断壁(施工時写真)
三井ホーム初の「SE構法 × 燃えしろ設計」により、安全性に優れ、木のぬくもりを感じる空間設計が実現
三井ホームとして初めてSE構法と燃えしろ設計を採用したことにより、木質感と耐震性・耐火性を両立した空間を創出しました。柱や梁をあらわしとしながら安全性を確保し、木の温かみを感じながら、児童・生徒・教職員が伸び伸びと安心して学び働ける環境づくりを目指しました。2階の小学校と中学校を接続した両学生の交流スペースは、大開口・大空間に対応し、小中一貫の教育施設に求められる「柔軟で創造的な学習空間」を具体化したものです。

交流ホール

昇降口・下足入れ
福島県産木材の活用による地域社会と環境教育への貢献
本校舎では、床材・壁材の一部、下足入れ、交流ホールベンチなどに地元・福島県産木材を約16m³使用しています。地域材の活用は、林業振興や森林資源の循環利用といった地域経済への寄与に加え、児童・生徒が地域の資源に触れながら学べる教育環境の形成にもつながります。この県産材の利活用は、森林環境の保全、および森林を全ての県民で守り育てるという「福島県森林環境税」の目的に沿った取り組みとなっており、これを財源とした福島市森林環境交付金事業補助金※7の交付を受けております。地産地消による木材活用を通じて、地域に根ざした学びの場づくりを支援しています。

交流ホールにある県産材を使用したベンチ

県産材を使用した下足入れ
最新の文部科学省の指針に沿った設計計画
令和4年3月30日に『「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について」最終報告』※8が文部科学省によって公表されました。これは1人1台端末環境のもと、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実等に向け、新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方及び推進方策について有識者会議にて取りまとめられたものであり、最新の学校の在り方について示されているものです。本校舎の設計においては、こちらを参考に以下のような工夫を行いました。
(1)柔軟で多様な学習空間の確保(「学び」の充実)
「柔軟で創造的な学習空間」 を、以下のように具体化しています。
- 多目的スペースの設置: 2階に「多目的教室」や、学級の枠を超えて活動できる広々とした「交流ホール」を配置しています。
- ラーニング・コモンズの視点: 廊下と「交流ホール」を連続させるとともに、「可動ベンチ」の設置など、多様な学習スタイル(非同期・分散型)に対応可能な空間づくりをしております。
(2)豊かな生活空間と木の温もりの活用(「生活」の充実)
児童生徒にとっての「安全・安心な居場所(リビング空間)」 の創出を図っています。
- 木材の積極的な利用: 教室や廊下の床材に「無垢材のパーケットフローリング(福島県産のクリ材)」を使用しています。また、交流ホールの壁面には「木質パネリング(福島県産のスギ材)」を用いて温かみのある空間を演出しています。

壁面に木質パネリングを使用した交流ホール

パーケットフローリングを使用した教室
(3)地域・社会との連携(「共創」の拠点)
「地域社会と連携・協働する共創空間」 の考え方を反映しています。
- 昇降口と事務室の近接: 1階の昇降口付近に「事務室」「応接室」「会議室」を集約することで、来客対応を容易にするとともに、地域住民との交流を育みやすい配置となっています。
- バリアフリー設計: 「人にやさしいまちづくり条例」に適合した出入口や車いす用スロープ、誘導用ブロックを各所に配置し、誰もが利用しやすい「地域コミュニティの拠点」としての機能を備えています。また、11人乗りのエレベーターを設置し、垂直移動のバリアフリー化も徹底されています。

昇降口付近の事務室

11人乗りのエレベーター
(4)安全・安心と環境への配慮(「根」の土台)
施設の安全性と持続可能性に関し、高い水準で整備しています。
- 高い耐震・耐火性能: 既存校舎と増築校舎を火熱遮断壁で接続し、構造的な安全性を確保。外壁や間仕切り壁も「45分準耐火構造」以上の仕様となっています。
- 断熱・省エネルギー性能: 断熱性の高い木を構造体に使用していることや基礎、外壁、屋根の各所に「高性能グラスウール」などの断熱材を隙間なく配置し、開口部の窓にはLow-eペアガラスを使用して、断熱性能を高めています。またLED照明などによりエネルギー効率を高め、省エネルギー性能も高くしています。

SE構法による強固な構造体(施工時写真)
これらの設計によって、単なる「校舎の継ぎ足し」ではなく、最新の教育ビジョンに基づいた「実空間の価値を捉え直した学び舎」となることを企図しております。
2.施設について
背景
本計画は、桜の聖母学院が長年抱えてきた校舎分散の課題を背景にスタートしました。同学院は、校舎が福島駅の東西に分かれて配置されており、学年や校種を越えた交流をより推進していくための課題となっていました。そこで今回、小学校校舎への中学校校舎の増築という形で機能を集約し、小中一貫の教育環境を整備することが計画されました。校舎を一体化することで、児童・生徒同士の交流や教職員間の連携をより活発にし、学園全体として一貫した教育を行える環境づくりを目指しています。
また近年、少子化の進行や教育ニーズの多様化など、教育環境を取り巻く状況が変化する中で、学校施設には将来を見据えた柔軟性や持続性が求められています。こうした社会的な状況も踏まえ、義務教育9年間を一体的に支える学校施設として、小中一貫校舎の整備が図られました。
施設概要
| 建築地 | 福島県福島市花園町31番1 外9筆 |
|---|---|
| 建築主 | 学校法人コングレガシオン・ド・ノートルダム |
| 施設名称 | 桜の聖母学院小学校・中学校 |
| 設計監理 | 三井ホーム株式会社 |
| 施工 | 三井ホーム株式会社 |
| 敷地面積 | 8699.44m2(2631.58坪) |
| 建築面積 増築 | 943.76m2(285.48坪) |
| 延床面積 増築 | 1466.13m2(443.50坪) |
| 規模・構造 | 2階建て・木造軸組工法(SE構法)、一部RC造(小学校と中学校の接続部分) |
| 工事工期 | 2025年5月~2026年2月 |
- 1:令和4年改正 建築基準法について:
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/r4kaisei_kenchikukijunhou.html - 2:鉄筋コンクリート造。
- 3:株式会社エヌ・シー・エヌが開発した、柱と梁を剛接合にすることで強固な構造をつくりあげる構法。高い耐震性と自由な設計が可能。
- 4:木造建築において、火災時に木材の表面が燃えて炭化することを前提に、安全性を確保する手法。建物の構造や性能が、荷重・地震・風圧などのさまざまな負荷に耐え得る設計になっているかを算出する構造計算を行い必要な木材(柱・梁)の断面寸法を求めた上で、火災時に木材の表面が燃える厚さを想定し、その厚み分を加える(木材を元々太くする)。
- 5:林野庁ホームページ「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」に基づく試算。
- 6:林野庁ホームページ「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」炭素貯蔵量計算シートによる換算。
- 7:福島市森林環境交付金事業補助金のうち、地域提案重点枠の①県産材の利活用推進に適合している。
- 8:「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について」最終報告の公表について:
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/044/toushin/1414523_00004.htm
■三井ホームは MOCX Green Project を推進します

https://www.mitsuihome.co.jp/company/mocx_green_project/
MOCX Green Project とは、これまでに 25 万棟以上の木造建築をつくってきた当社が、さらなる木造建築の可能性を広げ様々な取り組みを通じて脱炭素に貢献していくプロジェクトです。
■三井不動産ソリューションパートナー本部の取組み

三井不動産ソリューションパートナー本部は、お客さまの課題とニーズに対して、三井不動産グループの総合力と培ってきたノウハウを活かした最適なソリューションを提供するとともに三井不動産グループの新たな事業領域への挑戦に取り組んでいます。
本件も、当本部が桜の聖母学院様からご相談を頂いたところからはじまりました。これからも、お客さま一人ひとりと「ともに考え」最適なソリューションへ、「ともに歩む」ベストパートナーを目指してまいります。
■三井不動産グループのサステナビリティについて
三井不動産グループは、「共生・共存・共創により新たな価値を創出する、そのための挑戦を続ける」という「&マーク」の理念に基づき、「社会的価値の創出」と「経済的価値の創出」を車の両輪ととらえ、社会的価値を創出することが経済的価値の創出につながり、その経済的価値によって更に大きな社会的価値の創出を実現したいと考えています。
2024年4月の新グループ経営理念策定時、「GROUP MATERIALITY(重点的に取り組む課題)」として、「1.産業競争力への貢献」、「2.環境との共生」、「3.健やか・活力」、「4.安全・安心」、「5.ダイバーシティ&インクルージョン」、「6.コンプライアンス・ガバナンス」の6つを特定しました。これらのマテリアリティに本業を通じて取組み、サステナビリティに貢献していきます。
【参考】
・「グループ長期経営方針」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/innovation2030/
・「グループマテリアリティ」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/approach/materiality/
・「& EARTH for Nature」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/business/development/earth/for-nature/
また、2025年4月に、街づくりにおける環境との共生宣言「&EARTH for Nature」を策定し、「環境」を自然と人・地域が一体となったものと捉え、豊かな「環境」を広げ、未来の世代へつなぐ街づくりを推進しています。 本宣言における重点課題として、「緑を守り育む」「水の魅力を生かす」「生態系を豊かにする」「地域の想いをつなぐ」「自然資源を循環させる」の5つを定めています。本リリースの取り組みは、「&EARTH for Nature」における重点課題の2つに貢献しています。








































