三井不動産と竹中工務店、日本橋にて国内最大・最高層の
木造賃貸オフィスビル計画検討に着手
~三井不動産グループが保有する森林の木材を使用し持続可能な社会の実現に貢献~
2020年9月29日
三井不動産株式会社
株式会社竹中工務店
【本リリースの特徴】
- 現存する木造高層建築物として国内最大・最高層となる、地上17階建・高さ約70m・延床面積約26,000m2。
- 構造材に使用する木材量は国内最大規模の1,000m3 超となる見込み。
- 三井不動産グループが北海道に保有する森林の木材を積極的に活用。建築資材の自給自足、森林資源と地域経済の持続可能な好循環の実現を目指す。
- 最先端の耐火・木造技術を導入。主要な構造部材には竹中工務店が開発した耐火集成材の「燃エンウッド®」を採用。
その他、床・仕上げ等、各所にも木材を積極活用。 - 同規模の一般的な鉄骨造オフィスビルと比較して、建築時のCO2排出約20%削減効果を想定。
三井不動産株式会社(代表取締役社長:菰田正信、以下 三井不動産)と株式会社竹中工務店(代表取締役社長:佐々木正人、以下 竹中工務店)は、東京都中央区日本橋本町一丁目において、木造高層建築物として国内最大・最高層となる賃貸オフィスビル(想定規模:地上17階建、高さ 約70m、延床面積 約26,000m2)の新築計画の検討に着手しました。今後、詳細の検討を進め、2023年着工・2025年竣工を目指しています。
本計画は、主要な構造部材に耐火集成材(竹中工務店が開発した「燃エンウッド」)など、最先端の耐火・木造技術を導入する予定です。また、木材は三井不動産グループが保有する森林のものをはじめ、国産材を積極的に使用していくことで、建築資材の自給自足および森林資源と地域経済の持続可能な好循環を実現させ、環境に優しくCO2排出の削減にも寄与するプロジェクトを目指してまいります。
完成予想パース
- 当パースは現時点のイメージであり、今後変更の可能性があります。
1.本プロジェクトについて
本プロジェクトは、三井不動産の重点戦略エリアである日本橋の一角、日本橋本町一丁目において、現存する木造高層建築物として国内最大・最高層となる地上17階建、高さ 約70m、延床面積約26,000m2の賃貸オフィスビルを建築するものです。
主要な構造材に竹中工務店が開発した耐火集成材の「燃エンウッド」を採用した木造ハイブリッド建築です。今後、先導的な設計・施工技術を導入し補助事業等への提案を目指してまいります。
また、三井不動産が当エリアで展開しているライフサイエンス事業の拠点を、本プロジェクトの主要な施設の一つとして設置する予定です。
2.本プロジェクトの意義
(1)SDGs・環境への取り組み
持続可能な社会の実現に向け、森林資源と地域経済の循環の手段として木材の活用が求められています。建築資材として木を利用することで、大量の木材の活用が進められるとともに、建物の建築時のCO2削減にもつながります(※)。 また、三井不動産は資金調達の手段として、グリーンボンドの発行等のESGファイナンスも検討していく予定です。
- 当計画においては、同規模の一般的な鉄骨造オフィスビルと比較して、建築時のCO2排出約20%削減効果を想定。
(2)都心での木造高層建築への挑戦
再生可能な循環資源である木材を利用する木造建築への期待が世界各国で高まりを見せている中、三井不動産と竹中工務店が森林資源の循環を目指す企業として、お互いのノウハウを集結させ挑戦するのが、今回のプロジェクトです。
これまでになかった木造高層賃貸オフィスビルの実現により、都心で働くワーカーや来館者、周辺の皆様に対し木造ならではのぬくもりとやすらぎを与え、日本における都心での街づくりへの新たな価値創造や景観を生み出す魅力あふれる場となることが期待されます。
3.これまでの「木」の取り組み
三井不動産グループと竹中工務店は、これまでにも森林の保全や木材の活用といった森林資源の循環に取り組んでまいりました。今回のプロジェクトでは、その同じ想いを持つ2社が連携をして、国内最大・最高層の木造高層建築に取り組みます。
(1)三井不動産グループ 「“終わらない森創り”~地球の未来をつくるために植える、育てる、使う~」
三井不動産グループでは、「終わらない森創り」をテーマに森林を保有し持続可能な森林経営を実施しており、グループ従業員自らによる植林活動への参加や、林業の活性化などの地域課題解決に向けた自治体との連携など、“植える、育てる、使う”の循環サイクルを保つ取り組みを進めています。(https://www.mitsuifudosan.co.jp/and_forest/)
①三井不動産グループの保有林
北海道に約5,000ha(東京ドーム約1,000個分以上)の森林を保有し、その全てにおいてSGEC認証(※)を取得。(2009年11月取得、2014・2019年更新) 計画的な植林、育成、伐採等による持続可能な森林経営を実施しています。
- SGEC認証とは:
「『緑の循環』認証会議(SGEC)」により、「森林が持続可能な方法で適切に管理されていること」を評価・認証する制度
②木材の使用
伐採適期を迎えた木材や間伐のために伐採した木材を、これまでにも建築資材やオフィス家具、遊具で使うなど、グループ企業で積極的に活用しています。
マンションフローリング材の下地
バルコニーの天井・床材
オフィス・商業施設内の什器
③三井ホーム(グループ会社)との連携
今回の建築計画において、木造2×4工法のリーディングカンパニーであり、大規模施設系建築に注力している三井ホームや木材パネル供給を行っている三井ホームコンポーネント等、三井ホームグループでのノウハウも活かした連携(協業)を図ってまいります。
<大規模施設系建築の事例>
特別養護老人ホーム(東京都)
明澄幼稚園(千葉県)
(2)竹中工務店 「森林グランドサイクル®」
竹中工務店は「竹中グループCSRビジョン」において「まちづくりを通したサステナブル社会の実現」を掲げております。SDGsをはじめとする世界の潮流を意識し、地球環境・地域社会・お客様・従業員・協力会社などのステークホルダーと対話を重ねながら様々な社会課題を解決し、まちづくりを通したサステナブル社会の実現に貢献しています。
その一環として、「植える→育てる→使う・・・」という日本古来の森林サイクル(人と森の共生)の環を拡げ、森林資源と地域経済の持続可能な好循環を目指した「森林グランドサイクル」を提言し、活動を進めています。
中高層木造建築におけるトップランナーとして、本計画においては「燃エンウッド」、「CLT(※)」等の耐火技術や耐震技術を適材適所に適用した木造ハイブリッド建築の検討を進めてまいります。
- Cross Laminated Timberの略。ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した板状の集成材。
森林グランドサイクル概念図
(燃エンウッドについて)
燃エンウッドは、国土交通大臣より耐火構造の認定*を受けた技術です。独自の燃え止まり機構により、スギ・ヒノキ・カラマツなどの代表的な国産材を“現し(あらわし)” **で用いることが可能です。火災が生じた場合、断熱効果(燃え代層)と吸熱効果(燃え止まり層)により、柱・梁(荷重支持部)を火災の熱から守ります。
大規模建築や中高層建築において多くの採用実績があります。
<耐火集成材「燃エンウッド」の仕組み>
- 第三者機関による高度な性能検証を経て、建築基準法に準ずる性能があることを国土交通大臣が認める制度
- * 木の柱や梁の表面を耐火被覆などで覆わないで用いること
<燃エンウッドの採用事例>
フラッツウッズ木場(東京都)
4.SDGs:持続可能な開発目標(SDGs)について
2015年の国連サミットで採択された2030年に向けての国際目標 「SDGs:持続可能な開発目標」。17の目標と169のターゲットが定められており、様々な主体が連携しての取組が求められています。本プロジェクトでは、特に以下の7つの目標への貢献を意識して実施します。
目標3 | すべての人に健康と福祉を |
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目標8 | 働きがいも経済成長も |
目標9 | 産業と技術革新の基盤をつくろう |
目標11 | 住み続けられるまちづくりを |
目標12 | つくる責任つかう責任 |
目標13 | 気候変動に具体的な対策を |
目標15 | 陸の豊かさも守ろう |
【物件概要】
所在地 | 東京都中央区日本橋本町一丁目3番地 |
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敷地面積 | 約2,500m2 |
用途 | 事務所、店舗、駐車場 等 |
延床面積 | 約26,000m2 |
階数・高さ | 地上17階・約70m |
オフィス基準階面積 | 約300坪(専有面積) |
構造 | ハイブリッド木造 |
建築主 | 三井不動産株式会社 |
設計予定者 | 株式会社竹中工務店 |
竣工時期 | 2025年予定 |
- 数値は想定であり、今後の検討状況により、変更となる可能性があります。
【位置図】
三井不動産グループの木材を活用した取り組み事例
- 参考リリース:三井ホーム「木造大規模中層マンション「(仮称)稲城プロジェクト」 着手」
https://www.mitsuihome.co.jp/company/news/2020/0929.pdf