SUSTAINABILITY / ESG

Vol.9

2022.8.3

地域とつながる
「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」

三井不動産グループでは、ロゴマークの「&」に象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、グループビジョンに「&EARTH」を掲げています。街づくりを通して、人と地球がともに豊かになる社会に向けた取り組みをお届けしてまいります。
今回取り上げるのは、九州初のららぽーととして2022年4月にグランドオープンした「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」です。
「出会い×体験の広場~“ふれあい”と“つながり”のまちへ~」をコンセプトに、モノを売るだけでなく体験や思い出を作る場所として、地域とのつながりを意識して運営される「ららぽーと福岡」のユニークな取り組みを、社員インタビューを交えてご紹介します。

「商業施設」の一歩先へ
地域にひらかれ、街の明日をつくる
「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」

福岡空港から約2㎞、博多駅から1駅、最寄りのJR鹿児島本線 竹下駅から徒歩9分の福岡市青果市場跡地に、九州初のららぽーとである「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」が開業。2022年4月25日(月)のグランドオープン以降、多くのお客様にご利用いただいています。
8ヘクタールを超える敷地規模となる「ららぽーと福岡」は、交通の利便性向上や周辺環境への配慮、地域コミュニティの活性化など、さまざまな視点を考慮して設計されています。モノを売る商業施設という枠に収まることなく、街の魅力をさらに高める施設を目指して、地域の暮らしに役立つ機能の拡充に取り組んでいます。

閉じられた市場から開かれた広場へ

もともと福岡市青果市場として、限られた関係者のみが利用してきた当該敷地。周辺地域の魅力ある街づくりに寄与する跡地活用を目的に2018年に公募が開始され、三井不動産、九州電力、西日本鉄道が共同で設立した博多那珂6開発特定目的会社の活用アイデアが採用されました。「地域に開かれた広場」をテーマに、子どもから大人まで楽しめる約4,000㎡の広場「オーバルパーク」、地域の学校が部活動でも活用する陸上トラックやテニスや3×3のバスケットボールで利用できるコートを備えた約8,500㎡規模の「スポーツパーク」、農園体験を通じて食の営みを学べる「アグリパーク」などを備えています。

テニスコート / 3×3バスケットボールコート

街の機能を拡充し、暮らしを豊かに

施設内には路線バスが発着するバスターミナルが新設されたほか、シェアサイクルのポートも設置。こうした取り組みを通じて、交通混雑緩和、地域の交通利便性の向上、合わせて周辺地域との回遊性向上を実現しています。また、地域住民の生活の質向上につながる施設として、キッズスペースやクリニックモールなどを設け、暮らしを豊かにするさまざまな機能を充実させています。

キッズスペース「KIDS PARK」
シェアサイクル「Chari Chari」
バスターミナル

PROJECT STORY
プロジェクトストーリー

かけがえのない体験を通して
何十年後にも記憶に残る場所でありたい

開発・運営担当者
左:石塚勇輝(商業施設本部 商業施設運営部) 
右:高山卓磨(商業施設本部 リージョナル事業部)

ただの商業施設ではなく、出会いと体験を生み出す場として誕生した「ららぽーと福岡」。
そのコンセプトはどのように生まれ、どのように実現されているのでしょうか。
開発担当としてプロジェクト序盤からビジョンを描いてきた高山卓磨(商業施設本部)と、日々の運営の中でそのビジョンの達成を目指す石塚勇輝(商業施設本部)・山中昭平(三井不動産商業マネジメント株式会社)に聞きました。

「出会い×体験の広場~“ふれあい”と“つながり”のまちへ~」という施設コンセプトが定まった経緯を教えて下さい。

商業施設本部 リージョナル事業部 高山卓磨(以下、高山):昨今では多くの人がインターネットでものを買うようになり、その傾向はコロナ禍でさらに加速しています。こういった状況で新しく商業施設を作ろうとしたとき、何よりもまず「ものを買うこと」それ自体の意味を改めて考える必要がありました。
ものを買うという行動を分解してみると、「ものを手に入れる」という段階に至るまでに、「新しいなにかに出会う」「いろいろなものにふれて体験する」「ものを取り囲む文化や人びととふれあう」といった“心が動く”プロセスがあることに気付きます。むしろそういった出会いや感動の体験プロセスにこそ、お買い物の価値があると私たちは考えました。これがコンセプト設計の出発点です。

地域の特性からもインスピレーションを受けましたか?

高山:「ららぽーと福岡」の出店地はもともと青果市場でしたから、多くの人が集まり、交流する場でした。その魅力をベースに、これからは市場の関係者といった限られた方々ではなく、どんな人でも集まって交流できる自由な場所にしてはどうだろうかと考えました。
みんなが集まり、自由に使える場所というイメージから浮かんだのが「広場」というコンセプトです。施設内にいくつもの「パーク(広場)」を設け、買い物をするだけでなく、身体を動かしたり音楽を聴いたり、ただ寝転がって過ごしたりもできるような、多目的空間に仕上げようということになりました。

街の表情も大きく変わりそうですね。

商業施設本部 リージョナル事業部 高山卓磨

高山:もともと工場の多いエリアで、休日に訪れる場所というイメージではありませんでしたが、ここ最近は住宅地としての人気が高まっています。実は博多からたった一駅、高速道路の出入口や空港も近く、アクセスに優れた便利な場所なんです。
「ららぽーと福岡」の開業にあたっては、施設内にバスターミナルを設け、各方面からのバス路線を新設するなど、交通環境の整備にも取り組みました。これをきっかけに、さらに住みやすい街になっていくと嬉しいです。今回の開業で遠方からこのエリアに訪れる方が増えれば、新しい風も吹き込みそうですね。

オーバルパーク1F

地域の方々に愛される施設となるため、どういった取り組みをされていますか?

商業施設本部 商業施設運営部 石塚勇輝(以下、石塚):「ららぽーとに行きたいな」と思ってもらうためには、地域のニーズに合わせて施設のあり方を柔軟に変えていく必要があると思っています。そのための取り組みの一つとして、パークの使い方を地域の方々と一緒に考える仕組みを作っています。私たちが使い方を決めて押しつけるのではなく、住民の皆 さまから「こういう使い方がしたい」「こんな活用もできるんじゃない?」など意見をいただき、その実現を目指すかたちです。

商業施設本部 商業施設運営部 石塚勇輝

三井不動産商業マネジメント株式会社 ららぽーと福岡オペレーションセンター 山中昭平(以下、山中):開業前にも地域の方々と共に「準備会」を立ち上げ、定期的にヒアリングを実施しているんです。地域の方々からはたくさんの活用アイデアをいただいており、すでに実現にこぎつけているものもあります。

実際の活用方法をいくつか教えてください。

山中:たとえば屋上の陸上トラックは、この6月から那珂中学校陸上部の皆さまに活用いただいており、同様の取り組みがテニス部やバスケ部でも始まる予定です。そのほか、吹奏楽部の演奏発表の場として活用したい、幼稚園の運動会や地域のお祭りの会場として使いたいという声をいただいたりもしています。地域の方々がやってみたいことを一番良いかたちで実現できるよう、ルールを整えていくのも我々の役割だと思っています。これまでの施設運営で積み上げてきた危機管理の知見をしっかり活かし、自由に使えてかつ安心・安全な施設づくりに取り組む所存です。

「ららぽーと福岡」はどのような施設として地域に根付いていくのでしょうか。開発・運営担当から見たビジョンを教えてください。

山中:地域の方々の記憶にずっと残り、「またここに戻ってきたい」と思っていただけるような場でありたいです。いろいろな目的のもとで何度も通い、思い出のシーンを彩る大切な場所になり、ここでの出会いや体験が何十年後かにもその人の人生で活きるような、そんな存在になれると良いなと思います。

高山:公園のように自由に楽しんでもらえる施設であり続けたいですね。子どもたちの創造力が培われ、大人ものびのび過ごせる空間として、多くの方々にご活用いただければ。また、利用目的が限られないパークの特性を活かして、時代に合わせて進化していける施設でありたいとも思っています。

石塚:もともとあったエリアの良さを受け継ぎ、それをアップデートしていく場になると良いなと思っています。初めて訪れる方はもちろん、昔からここに住んでいた方も、地域の魅力に改めて気付き、新しい景色を共に作っていける─そんなかけがえのない出会いと体験が生まれる場所でありたいですね。

オーバルパーク2F
フットボールパーク
陸上トラック

PROJECT STORY
プロジェクトストーリー

地域文化を未来につなぐ、
出会いにあふれるフロア設計

物販店舗リーシング担当者
左:飯村マリエ(商業施設本部 商業施設営業一部)
右:吾妻奈々(商業施設本部 商業施設営業一部)

「ららぽーと福岡」では、物販ゾーンの設計においても「地域とのつながり」や「体験」が意識されています。そんな店舗づくりの工夫について、フロアのコンセプト考案からゾーニング、店舗の誘致を担当する、商業施設本部の飯村マリエと吾妻奈々に語ってもらいました。

「ららぽーと福岡」物販ゾーンの特徴は何ですか?

商業施設本部 商業施設営業一部 飯村マリエ(以下、飯村):地域文化を紹介する店舗や、地域に根ざした店舗が多いことです。誘致にあたっては、ただ伝統工芸品を並べて紹介するのではなく、地元の良品を現代的な目線でキュレーションし、新しい切り口で文化を提示できるよう心がけました。そういった理由から、「地域文化商社」として地域文化の現代活用を追求されている「うなぎの寝床」さんや、時代のニーズに応じた革新的な博多織製品を制作されている「サヌイ織物 HAKATAORI SANUI」さんなど、共通の問題意識をお持ちの方々にご出店いただいています。

商業施設本部 商業施設営業一部 吾妻奈々(以下、吾妻):店舗の配置も工夫して、なるべく幅広い層のお客様がこのエリアの文化に触れられるように構成しました。

「サヌイ織物 HAKATAORI SANUI」

飯村:今まさに地元で人気の店舗さんにも積極的に声を掛けました。ららぽーと自体が九州初進出ということで、三井不動産として初めてお付き合いする店舗さんもあります。その一つが、福岡発のハンドメイドアクセサリーブランド「Cassis de Rouge」さんです。海外で買い付けたこだわりのパーツを元に製作されたスタイリッシュなデザインが特徴のハンドメイドアクセサリーを展開していて、私個人もずっと注目していたブランドなので、今回出店いただけて本当に嬉しいです。こうした新たなパートナーとの出会いが、「ららぽーと福岡」でしかできない体験の提供につながっていると感じます。

「うなぎの寝床」

フロア設計やゾーニングでの工夫はありますか?

飯村:「ららぽーと福岡」の魅力といえば、やはりパーク(広場)です。そこで店舗配置の面でも、パークの空間を活かせるよう心がけました。たとえば、木製のおもちゃ約8,000点を展示し、木を「見て」「触れて」「感じる」ことのできるミュージアム「福岡おもちゃ美術館」さんは、ご家族連れのお客様が多い店舗ということで、オーバルパークに面した区画かつお子様に人気のポップジェットを取り囲むように配置しています。このように、屋内外の空間をシームレスに楽しんでいただけるよう工夫しています。

吾妻:オーバルパークのそばに出店されているアウトドア関連グッズのセレクトショップ「GreenSummit」さんは、お店の商品をパークで試せるサービスを展開しています。今後もこのようなかたちで、パークと店舗の相乗効果が次々生まれることを期待しています。

商業施設本部 商業施設営業一部 吾妻奈々

飯村:ほかにも「ららぽーと福岡」には、見て、ふれて、体験できる店舗がたくさん揃っています。買い物のためだけでなく、いろいろな「コト」を目的に多くの人が集う、コミュニティに根ざした場になれたら良いなと思います。

今回のオープンに向けて、なにか苦労したことはありますか?

吾妻:今回誘致した体験型店舗の一つである「福岡おもちゃ美術館」さんは、NPO法人によって運営されています。非営利団体ということで、契約のあり方からして一般的な商業店舗さんと異なり、担当者は慣れないフローに苦労する点もあったと聞いていますが、この誘致を通して「売上以外の場所に価値を置く」という新しい三井不動産のあり方を体現できたようにも思います。

物販担当の目線から、今後の展望を教えてください。

商業施設本部 商業施設営業一部 飯村マリエ

吾妻:伝統に根ざす地域文化が、未来につながっていくための一つの拠点になれたら嬉しいです。地元の方にとって、近くにあるからこそ見失いがちな地域の魅力を再発見できるような場所でありたいですね。そしてもちろん、2022年7月31日に開業を迎えたキッザニア福岡や実物大ν(ニュー)ガンダム立像などを目的に遠方から来られた方が、この街の良さにふれられる場所でもありたい。そういった体験を促すような店舗運営を、これからも続けていきたいです。

飯村:「ららぽーと福岡」が地域文化へのタッチポイントであり続けるためにも、地元の方々の暮らしに溶け込み、支持される店舗でありたいですね。便利で快適なフロアづくりを通じて、生活の中で地域文化の「いま」にふれ、体験できる機会を提供できれば。その結果として、持続可能な地域コミュニティのさらなる発展に寄与できれば嬉しいです。

「Green Summit」

300名を超える応募が集まり市民ボランティアが関わる
「福岡おもちゃ美術館」

日本最大級のおもちゃミュージアムとして「ららぽーと福岡」1Fにオープンし、子どもはもちろん大人からも人気を集めている「福岡おもちゃ美術館」。地元・福岡県産の木材を使ったあたたかみのある木製おもちゃをはじめ、さまざまな玩具が豊富に揃い、遊びを通じてコミュニケーションを楽しめる施設です。また、日本の家具5大産地の1つである福岡・大川の6つの家具工房が集うギャラリーは、地元の職人が地元の木材で制作した木の家具に触れられる空間となっています。
そんな「おもちゃ美術館」の大きな特徴は、市民ボランティアによって施設の運営が成り立っていることです。地域の有志が知識を身に着けて「おもちゃ学芸員」となり、来館者への案内やイベント運営、展示品と館内のメンテナンスを担います。
今年4月のオープンに向けたボランティアの募集には、当初の予想を大幅に上回る多数の申し込みがありました。開館1年前より始まった養成講座を経て、300名を超える「おもちゃ学芸員」が誕生。幅広い世代の人々が、遊びの伝承者として同館の運営を支えています。
この「おもちゃ学芸員」制度はシニア世代の新たな生きがいや大人の学び直しの機会としても機能し、地域住民どうしの新しいつながりと与え合いを生み出しています。「おもちゃ美術館」誘致の背景にあった「『ららぽーと福岡』が単にモノを買う場所ではなく、多世代交流の拠点でありたい」という想いは、こうしたかたちでも実現しているのです。

PROJECT STORY
プロジェクトストーリー

青果市場の特徴を受け継ぎつつ
日常に馴染む飲食ゾーンへ

飲食店舗リーシング担当者
柳田しのぶ(商業施設本部 商業施設営業三部)

農業・水産業が共に盛んで、食の宝庫ともいえる九州・福岡エリア。「ららぽーと福岡」ではそんな地域の魅力を活かすため、飲食ゾーンにも力を入れています。フードコート、カフェ・レストラン、食物販など、幅広い分野で初期からプランニングに携わってきた商業施設本部の柳田しのぶに、こだわりのポイントを聞きました。

「ららぽーと福岡」飲食ゾーンの大きな特徴は何ですか?

商業施設本部 商業施設営業三部 柳田しのぶ(以下、柳田):「九州発」の店舗を積極的に誘致したことです。博多生まれの高級居酒屋「田中田」さんが展開する「わっぱ定食堂」、天神の人気焼肉店「参星(みつぼし)」さんの「米の上で肉おどる 旨い米と焼肉重 ミツボシ」、まもなく創業40周年を迎える老舗「焼とりの八兵衛」さんのテイクアウト専門店、「茅の舎」などのブランドを持つ「久原本家」さんのフラッグシップストア、ミシュラン掲載レストランが運営するパティスリー「パティスリー ジョルジュマルソー」など福岡発祥の人気店や地元で愛される名店に多数ご出店いただきました。
一方で、「九州初」のテナント誘致にも力を入れました。ミシュランビブグルマンを獲得したラーメン店「宍道湖しじみ中華蕎麦 琥珀」、カレーパンギネス記録を持つベーカリー「パンパティ」など、全国的に注目されているお店の味も楽しんでいただける店舗構成になっています。

「ららぽーと福岡」飲食ゾーンの大きな特徴は何ですか?

柳田:青果市場であった土地の歴史を受け継ぐような設計を採用したことです。1Fの「フードマルシェ」には、グローサリー、ベーカリー、パティスリーなど様々なお店が、その名のとおり市場のようにひしめきあっています。
このフードマルシェに出店されている「MARKET351」さんは、旧青果市場で仲卸をされていた「鬼木」さんの新業態店舗なんです。今回は、野菜や果物、お肉・お魚を買えるだけでなく、それを使った料理をその場で味わうこともできる、グローサリーとレストランが合わさった「グローサラント」という形での出店です。打ちっぱなしの床やターレーのディスプレイなど、内装デザインにもこだわり、新しい食体験ができるお店として、多くのお客様から人気を集めています。

「MARKET351」

約1,450席の広大なフードコートやレストランも、各所で話題を呼んでいますね。

商業施設本部 商業施設営業三部 柳田しのぶ

柳田:これまではフードコートとレストランを別のフロアに設けることが多かったのですが、「ららぽーと福岡」では両者を集約し、「グランダイニング」という一つのフードゾーンとしました。幅広い選択肢の中から、そのときの気分で入るお店を選んでいただけるよう、このようなゾーニングを採用しています。 九州最大級規模のフードコートということで、複数のトレイを一度に運搬できる専用カートを用意するなど、利便性向上のために独自の工夫を凝らしています。こうした設備は、お子様をお持ちの方々の声を聞いて導入しました。ほかに、注文から支払いまでをセルフで済ませられるセルフオーダーシステムも、ららぽーと初の試みです。さらに、スポーツパーク直通のエレベーターを設置し、テイクアウトメニューをパークで楽しむことができるような工夫もしています。

今回ららぽーと初出店のテナントさんも多いということですが、誘致にあたっての苦労や工夫があれば聞かせてください。

柳田:今回は九州初のららぽーとということもあり、特に地元の店舗さんとは、何もないところから良好な関係を築き上げる必要がありました。
信頼関係の構築はたとえ平時でも簡単なことではありませんが、今回はコロナ禍がその難しさに拍車をかけました。開業スケジュールに合わせて誘致活動を開始したのは、2020年の緊急事態宣言明けでしたが、これは感染拡大防止のために休業を余儀なくされていた飲食企業さんとして、言うまでもなく一番苦しい時期でした。既存店舗の経営自体が難しいときに、さらなる新規出店に向けてなんとか話を聞いていただかなければなりません。しかも出店先の建物はまだできあがっておらず、完成イメージCGしかないのです。この状況で、いかに物件の魅力を伝え、新規出店のメリットをご理解いただくか、という点に腐心しました。
そこで心がけたのが、施設全体のコンセプトを丁寧に説明することです。「出会いや体験を提供し、ふれあいとつながりを生み出す」というビジョンを前面に打ち出し、これまでの商業施設との違いをしっかりと提示しました。その結果、これまで「デベロッパーの話は聞かない」とおっしゃっていた店舗さんにもご出店いただけるなど、嬉しいご縁がたくさんありました。体験を重視する姿勢や、複数のパークを設けた空間のおもしろさに共感をいただき、共に未来を思い描いていただけたのだと思います。
地域の業界内でも良い口コミが広まっていたようです。「あのお店が出店するなら、うちも出してみようかな」という流れで出店を決めたというお話を聞いたときは、地域の方々に受け入れていただけたように感じ、嬉しく思いました。

今後、「ららぽーと福岡」の飲食ゾーンに期待することは何ですか?

柳田:地域の方々にとって、日常のさまざまなシーンで便利に使える場所であってほしいです。地元のお店や地域の食材を扱うお店で“いつもの味”を楽しみ、全国的に注目されるお店で“流行りの味”に出会う。そして、グローサラント「MARKET 351」さんや、「久原本家」さんのイベントスペースなどで、新たな食のあり方を体験する・・・。このように多彩な方法でご活用いただける、暮らしに馴染む施設になれたら嬉しいですね。

食文化をつなぐ、多彩なエリア

青果市場を受け継ぐ「フードマルシェ」

地元・福岡や九州発の多様な食の魅力を詰め込んだマルシェには、青果市場としての歴史を思い出させるターレーのディスプレイがある店舗も。
イートインエリアも併設されており、テイクアウトした商品をその場で楽しめます。

九州最大級のフードゾーン「グランダイニング」

フードコートとレストランゾーンの計31店舗が一堂に会するフードゾーン。
ここでも、コンテナ型のキッチンが市場の活気を想起させます。約1,450席の九州最大規模のフードコートではセルフオーダーシステムや、複数のトレイを一度に運べる専用カートを用意し、快適な食事環境を提供しています。

食のイベントスペース併設「久原本家」

「茅乃舎」を展開する久原本家グループの全ブランド商品を取り扱う総合ショップ「久原本家」には、料理教室や体験会を開催するイベントスペースを併設。親子で料理を楽しんだり、味噌づくりなどの伝統的な食文化を学んだりと、豊かな食の体験を得られる場となっています。

育てて、食べる食育体験「アグリパーク」

フードコート&レストランゾーンに隣接するのは、手ぶらで農業体験ができる「アグリパーク」。約3㎡の農園を借りて、買い物の合間に農業を体験できる施設です。種や苗から農具まで、必要なアイテムがひと通り揃い、経験豊富な菜園アドバイザーから日常のケアや育て方のアドバイスも受けられます。パークの隣にはBBQエリアやシステムキッチンを備えた「ファームスタジオ」も整備し、育てた野菜をその場でおいしく調理して味わうこともできます。「野菜を育て、収穫して食べる」という一連の食育体験を提供するアグリパークは、9つあるパークのなかでも青果市場の役割を繋ぐ象徴的なパークで、ほかに農業に関する講習会や、四季や旬を感じられる食イベントなども開催予定です。

MITSUI FUDOSAN SDGs
環境配慮への取り組み

ららぽーと福岡は、地球温暖化防止に貢献するため、脱炭素をはじめとしたさまざまな取り組みを行っています。

省エネと創エネ
共有部は再生可能エネルギーへ

屋内の省エネへの施策はもちろん、太陽光パネル約400枚を建物屋上に設置し、エネルギー創出も行っています。加えて、再生可能エネルギーに由来する非化石証書を活用することで電力のグリーン化を推進し、施設内の約30%を再生可能エネルギーとし、全体のCO2排出量削減に貢献しています。
また、施設の一部立体駐車場は、旧福岡市青果市場の既存建物を利用することで建替え工事ではなく改修工事とし、解体時の廃棄物削減や建築時のCO2排出量削減を実現しています。

竹下駅からつづく花の道
敷地面積の20%超を緑化

福岡市がすすめる、花によるまちづくりを目指す取り組み「一人一花運動」と連携し、立体的で色鮮やかな花壇を配置した「フラワーパーク」や、様々な木々を配した「フォレストパーク」など、緑豊かでゆとりある空間を確保し、緑化面積は約17,000㎡(敷地面積の20%超)となります。現在は最寄りの竹下駅への道を花壇でつなぐ活動も行っています。

三井不動産グループのSDGsへの貢献について

三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しております。さらに「重点的に取り組む6つの目標」に取り組むことで「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。

重点的に取り組む6つの目標

  1. 街づくりを通した超スマート社会の実現
  2. 多様な人材が活躍できる社会の実現
  3. 健やか・安全・安心なくらしの実現
  4. オープンイノベーションによる新産業の創造
  5. 環境負荷の低減とエネルギーの創出
  6. コンプライアンス・ガバナンスの継続的な向上

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