2022年度
脱炭素社会実現への取り組み
脱炭素社会実現に向けて
近年、自然災害が激甚化・常態化する等、
地球規模での気候変動が生じています。
気候変動への国際的枠組みである「パリ協定」等を
きっかけに、気候変動に関する国際的な動きも
加速しており、
企業においても、事業を通じて社会の
持続的な成長に貢献していくことの重要性が
一層高まっています。
当社グループはこれまで、「&マーク」の理念のもと、
広く社会と共生・共存・共創し、時代のニーズに応える
街づくりを行なうことで、
人々の暮らしを豊かにし、
常に新しい価値を創造することで、
企業成長を果たしてきました。
また、気候変動への対応にも
かねてより積極的に取り組んでいます。
2020年12月、当社グループの
温室効果ガス排出量の2030年度と2050年度における
削減目標を公表しました。
翌2021年には、2030年度の削減目標を
より高く設定するとともに、
目標達成に向けた包括的かつ具体的な戦略として、
行動計画を策定しました。
行動計画
01
環境性能向上
ZEB/ZEH水準の環境性能を実現※
環境性能を有するBEI水準、一部物件を除く。
主な採用手法
- ●
- 空調負荷の最適化
- ●
- 基準照明照度の適正化
- ●
- その他省エネ項目の採用
~オフィスビルとして国内最大級の「ZEB Ready」認証取得物件~
共用部においてはLED 照明や人感センサーの導入等、オフィス専有部においてはLED照明や昼光センサー、高効率室外機の導入や適正な照明照度の設定等を実施。これらの施策により、年間一次エネルギー消費量を同水準の標準的な建物と比べて50%以上削減。計画地の一部に太陽光パネルを設置し、館内に必要なエネルギーを創出。
※「ZEB Ready」認証取得対象は、八重洲セントラルタワーの事務所用途部分。
- ●
- 空調負荷の最適化
- ●
- 照明使用効率の向上
- ●
- その他省エネ項目の採用
- ●
- 太陽光発電設備の設置
~大規模商業施設初となる 「ZEB Oriented(物販等)」認証を取得~
施設の設計一次エネルギー消費量を 30%以上削減。エネルギー管理システム(BEMS)、照明および空調制御システムの導入による効率的なエネルギー運転管理。高断熱建材、高効率設備機器、LED 照明の採用による省エネルギーの実施。コジェネレーションシステムの導入によるエネルギーの地産地消。
※ZEB Oriented 認証範囲は、商業棟の延床面積のうち、飲食店舗部分の面積を除いた「物販等」の範囲。
主な採用手法
- ●
- 太陽光発電設備の設置
- ●
- 調光付き倉庫内LED照明の採用検討
各種の創エネと省エネの取り組みにより、建物全体の基準排出量と比較して122.6%のCO2削減。省エネにおいては、直径約15cmの杭44本を地下約100mまで打ち込み地中熱を活用することで空冷エアコンに比べて30%以上の省エネ効果のある「地中熱ヒートポンプ」、湿度と温度が別々に調整可能であり、標準エアコンと比べて20%程度の省エネ効果のある「デシカント空調」、LED照明等の省エネアイテムを採用。創エネにおいては、屋根に太陽光発電設備(設備容量:約2,000kW、発電量:約2,200,000kWh/年)を設置し、発電電力を共用部およびテナント専有部へも供給。
- ●
- 空調負荷の最適化
- ●
- 照明使用効率の向上
- ●
- 太陽光発電設備の設置
(日光を遮るバルコニーを採用し空調効率を向上)
2030年度に
中高層:全棟ZEH-M
戸建て:全戸ZEH
(全戸ZEH-Orientedマンション)
- ・
- 国内最大規模となる全1,002戸ZEH-Oriented取得予定
- ・
- 使用電気・ガスともにCO2排出量実質ゼロとなるサービスを導入
- ・
- オンサイト発電による創エネとMEMSで共用部の環境負荷をさらに低減
- ・
- 各住戸の電力消費量の見える化等、入居者が楽しみながら継続的に省エネ・省CO2に取り組んでいただけるような仕組み作り
受注物件において2030年度に専用住宅ZEH率100%、賃貸住宅・事業用建物でのZEH・ZEB率50%
ZEHとともに庭を含めた環境設計を提案
物件の省エネ性能向上・
オンサイトでの再生可能エネルギーの
創出を積極的に推進
オフィスビルにおいては全物件で照明のLED化や照明照度の適正化、ホテル・商業施設での空調負荷低減の取り組みを推進する。
環境性能の向上を図る
ロジスティクス施設や商業施設においては屋上等の敷地内スペースに可能な限り太陽光発電設備を設置。オンサイトでの発電・供給を実現する。
当社と広島国際空港株式会社がPPA契約(電力売買契約)を締結し、広島空港の駐車場を利用したカーポート型太陽光発電設備を設置・所有・運用。発電した電力を広島空港ターミナルビルにて使用。
行動計画
02
電力グリーン化
「グリーン化」とは、非化石証書等を利用して使用電力を実質的に再生可能エネルギーとすること。
- ●
- 2022年度までに、東京ミッドタウンおよび日本橋エリアのミクストユース型基幹ビルなど、首都圏25棟の当社使用電力を先行してグリーン化を実施済み。
- ●
- 2022年3月中部圏、関西圏における使用電力グリーン化で連携開始。首都圏で展開した三井不動産の「グリーン電力化」に中部圏、関西圏が加わり、三大都市圏での展開が可能に。
- ●
- 対象施設は約180施設へ拡大、2030年度までの国内保有全施設グリーン電力化に向けて、展開を加速。
- ●
- 2023年に竣工した東京ミッドタウン八重洲で、当社として初めて施設内の使用電力に当社が保有する全国5か所の太陽光発電所の環境価値を付加。
- ※
- 1 三井不動産が保有する太陽光発電所、東京電力エナジーパートナー㈱が契約する卒FIT住宅用太陽光発電設備、提携する発電事業者が保有する太陽光等
- ※
- 2 FIT電源の場合はJEPX( 日本卸電力取引所) を経由して取得、非FIT電源の場合は電力事業者から取得。
- ※
- 3 特定電気事業エリアは三井不動産TGスマートエナジー㈱、その他は東京電力エナジーパートナー㈱ほか。
共用部使用電力をグリーン化
行動計画
03
グリーン化メニューの提供
入居企業や購入者の方々の
脱炭素に向けた取り組みをサポート
- ●
- グリーン電力提供サービスを提案し、入居企業の皆様のRE100や脱炭素に向けた取り組みをサポートする。
- ●
- 2021年4月よりオフィスビルテナント各社様への「グリーン電力提供サービス」を開始。
- ●
- 2022年、三大都市圏での整備を以て顧客のRE100やESG課題解決のサポート体制が整備完了。
- ●
- 物件売却時にグリーン電力メニューを提案し、機関投資家の皆様のRE100や脱炭素に向けた取り組みをサポートする。
- ●
- 中高層分譲において、「一括高圧受電×再生可能エネルギー」の仕組みやエネファーム導入によるグリーン化等の手法を採用し、2030年度までにCO2排出量40%削減(中高層・戸建て平均)を達成する。
行動計画
04
安定的な確保
- ●
- 既存のメガソーラー事業(0.8億kWh/年)に加え、2030年度までに総発電量3億kWh/年※(総出力:約17.5万kW)のメガソーラー開発を目指す。(合計3.8億kWh/年)
- ●
- 2022年度メガソーラー開発用地として合計7か所、約2,300万kWh/年分を確保。CO2削減量は年間約1万t。東京ミッドタウン日比谷や北海道地方、中国地方の当社保有施設に送電。
- ●
- 全国5か所において総面積93.9haのメガソーラー事業を展開。総出力:約7.2万kW、年間約0.8億kWhを発電。
行動計画
05
向けた取り組み
把握するツール整備に加え、
建設会社等に削減計画書の提出を義務化
サプライチェーン全体での
CO2排出量削減を促す
- ●
- 2022年3月、三井不動産と日建設計が日本建築学会の「建物のLCA指針※1」をより実務的に活用しやすいようアレンジした「温室効果ガス(GHG)排出量算出マニュアル」を策定
- ●
- 従来「工事総額」に一定単価を乗じた簡便的な方法から部資材ごとの積上方式となることで高精度のGHG排出量の算定が可能に
- ●
- 本マニュアルの試行を進め、学協会・施工会社や不動産会社など関係者へ幅広く共有。その結果として2023年に一般社団法人不動産協会が「建築時GHG排出算定マニュアル」策定。
- ※
- 1 建物のLCA指針:日本建築学会により2013年に定められた、日本で唯一、建物のライフサイクル環境負荷(LCA ※2)の計算方法を学術的に確立した指針。
- ※
- 2 LCA(ライフサイクルアセスメント):ある製品やサービスのライフサイクルにおける環境負荷を定量的に評価する方法。
- ●
-
設計指針の改定
- ・
- 環境性能を高める設計対応
- ・
- 無駄のない適正な部資材・設備利用計画
- ・
- 低炭素材や低炭素手段の活用
- ・
- 上記を含む「建築時CO2削減計画書」の提出
- ●
-
見積要項書の改定
- ・
- 上記のツールを用いた建築時排出の算出
- ・
- 建設現場での排出削減
- ・
- 資材の調達戦略
- ・
- 上記を含む「建築時CO2削減計画書」の提出
- ●
- 高層木造ビルや木造住宅などに保有林を積極的に活用。
- ●
- 建築資材の自給自足および森林資源と地域経済の持続可能な好循環を実現させる。
北海道産木材の利用促進について、北海道、北海道森林組合連合会、北海道木材産業協同組合連合会と協定を締結
<本協定の主な内容>
- ・
- 北海道が北海道産木材の利用促進について技術的助言や補助事業等の情報提供、本協定に基づく取組の広報を行うこと
- ・
- 北海道森林組合連合会があらかじめ建築材の供給体制を整え、合法伐採木材の供給を適時に行うこと
- ・
- 北海道木材産業協同組合連合会が地域材の利用促進および施設整備への財政的支援の要請に取り組むこと
- ・
- 当社グループが今後建設予定の建築物において、北海道産木材の利用に努めること
当社グループは北海道と協力し、本協定の趣旨である、2050年脱炭素社会の実現、林業とその関連産業の活性化による地方創生の実現に貢献
サステナブル木造マンション
「MOCXION(モクシオン)」
- ●
- サステナブルな建築資材「木」によるマンションで、建設時CO2を大幅に削減し、地球環境に貢献
- ●
- 高い断熱性、省エネ性・耐久性・耐震性・耐火性・遮音性をそなえたサステナブルなマンション
パークアクシス北千束 MOCXION
~ZEB-M Ready・LEED認証取得予定~
ALL木造カーボンゼロ賃貸マンション。木造化により建設時のCO2排出量を約50%削減。普及拡大段階の木造化技術を活用したプロジェクトとして、2022年度国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」に採択。当社グループの保有林をエントランスラウンジの内装材に使用。三井不動産レジデンシャルの賃貸マンションとしては初となる国際的環境認証「LEED 認証」の取得を予定。「MOCXION」で新規に開発された高強度耐力壁を用い、耐震性を確保しつつ耐力壁のスリム化を実現。
オフィスビル計画
- ●
- 現存する木造高層建築物として国内最大・最高層となる、地上17階建・高さ約70m・
延床面積約26,000m2。 - ●
- 構造材に使用する木材量は国内最大規模の1,000m3超となる見込み。
- ●
- 三井不動産グループが北海道に保有する森林の木材を積極的に活用。
建築資材の自給自足、森林資源と地域経済の持続可能な好循環の実現を目指す。
- ●
- 全施設の環境性能向上に加え、脱炭素を含めたESG推進の観点から、国内外の外部認証を積極的に取得。(定量的な目標:新築物件環境性能認証取得率100%)
環境不動産認証の取得状況はESGデータページ、環境関連データをご参照ください。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/esg_data/environment/
- ●
- アカデミア・建設会社との共同研究や、ベンチャー企業への出資・実証実験の場の提供等を積極的に行うことで、社会全体の脱炭素化への貢献を目指す。
2022年脱炭素分野に強みを持つベンチャーキャピタルが組成するファンドへの戦略的LP出資予算を新たに策定し、計3ファンドへの出資を実行。戦略的LP出資を通じて、脱炭素に関する技術革新の動向把握、ならびに脱炭素関連のスタートアップの発掘と共創を目指す。
街全体のエネルギーを一元管理するためAEMSを導入。エネルギーの効率的な活用を実現し、太陽光パネルによる一部省エネも実施。
新技術の実証フィールド提供
ヒラソル・エナジー㈱、エクセルギー・パワー・システムズ㈱といった、脱炭素に係る新技術を有するベンチャー企業に対し、実証フィールドを提供。
住民参加型の環境活動
地域の住民や街のユーザーの方々も巻き込んだ参加型の環境プラットフォームを整備。活動に参加された方はポイントやステータスの付与を受けることができる。
(日本橋 / 豊洲 / 八重洲)
既存ビルを含めた周辺地域への電気・熱の安定供給事業により、非常時にもエネルギー供給が可能なエネルギーレジリエンス※向上および省エネ・省CO2を達成するエコフレンドリーな街づくりを実現。日本橋・豊洲に続いて2022年9月から八重洲でもエネルギー供給を開始
- ※
- エネルギーレジリエンス:エネルギー供給網の強靱化。緊急時の対策だけでなく、平時からさまざまな状況に備えておくことが重要という考えに基づく。
三井不動産レジデンシャルが提供する楽しみながら持続的に脱炭素活動を実践する「くらしのサス活」の活動の一つとして2023年、住宅入居者が不要になった衣類等を次の利用者へ届けるための回収ステーション常設型の不要品回収サービス「くらしのサス活Circular Action」を開始。回収した不用品を選別し資源として再流通させることで、焼却に比べ約70%のCO2排出量の削減に貢献。
不用品のリユース・リサイクルのフローイメージ
(ICP:社内炭素価格制度)の導入
- ●
- 2022年度より、新規開発物件においてCO2排出量に価格付けを行い、脱炭素への取り組みを促す仕組みである「インターナルカーボンプライシング」を導入。環境負荷を定量的に可視化し、進捗管理。CO2排出量削減に向けた社内の意識を高め、脱炭素への取り組みを加速。
- ●
- ESG・SDGsに関する取組みを加速するため2022年「サステナビリティ推進本部」を新設。行動計画推進を含むESG・SDGsに関する総括機能を担うことを目的として2021年10月に新設した「サステナビリティ推進部」と、グリーンエネルギーマネジメント、メガソーラー事業等を担う「環境・エネルギー事業部」が全社部門と連携し、取り組みを推進します。