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小型植物工場「みらい畑」の学校バージョンを開発
教育用植物工場の運用モニター第一弾として、
福島県富岡町小中学校に設置、理科授業や食育プログラムへの活用方法を検証

平成24年2月16日
国立大学法人千葉大学、株式会社みらい
三井不動産株式会社、三協フロンテア株式会社

 国立大学法人千葉大学は、株式会社みらい、三井不動産株式会社、三協フロンテア株式会社の3社と、植物工場学校バージョン「みらい畑」(広さ約1坪タイプ)を共同開発し、東日本大震災の影響で仮設学校での授業を行っている福島県の富岡町小中学校に設置します。設置後は、サラダ菜やレタスなどを栽培しながら、植物工場の学校における活用方法の研究を行うために、理科や食育などの分野で授業プログラムの開発を行います。

 「みらい畑」は、閉鎖型施設内で人工光源を利用し、無農薬水耕栽培を行う植物工場です。平成21年より、広さ約2坪のタイプを千葉県柏市柏の葉キャンパスの商業施設「ららぽーと柏の葉」に設置し、地域住民による収穫・試食会を開催するなど、都市型植物工場のあり方について実証実験を行ってきました。今回設置する学校バージョンみらい畑は、サイズを半分の約1坪にした新型です。平成24年1月に屋外に1台を設置済みで、3月には、さらに小型化し標準的な学校出入り口からも搬入出が可能なタイプを屋内に1台設置します。

 福島県富岡町は、東日本大震災による福島第一原発事故の影響で全域が警戒地域に指定されており、町内に4校あった小中学校は、富岡町より約40キロ離れた福島県三春町の工場を使用して仮設の統合学校を開いています。屋外で野菜や植物などと触れ合うことが難しいため、その支援と合わせ、みらい畑の運用を共同で行います。みらい畑は閉鎖型施設であるため外気や土壌の影響を受けず、被災地農業の復興にも期待されています。

 本事業は、文部科学省の推進する日本・中国・韓国等アジアの大学間人材交流事業「キャンパスアジア拠点事業」に採択されている、千葉大学の「植物環境デザイニングプログラム」の一環として実施します。世界的に注目を集める植物工場の技術や仕組みの理解を通じて、その活用方法やデザインを提案できる人材の教育に向け、みらい畑の運用も留学生と協力実施します。また、小中学生との国際交流の場としても活用し、2月3日には1台目のみらい畑設置に合わせ留学生11人が同小中学校を訪れました。今後も、定期的な交流活動を実施していく予定です。

 千葉大学では、農林水産省より「モデルハウス型植物工場 実証・展示・研修事業」を受託しており、平成23年から柏の葉キャンパスにて大規模な実証実験を展開しています。その一つとして、小型で街のどこにでも設置できる「街中植物工場」について、民間企業とコンソーシアムを組織して研究を進めています。今回の取り組みで、教育用植物工場として小中学校での利活用の可能性を検証し、今後は街中植物工場コンソーシアムとも連携しながら、全国の小中学校へ向けた植物工場の普及を進めていく計画です。


富岡町小中学校に設置した1台目の「みらい畑」外観

<「みらい畑」の主な特徴>

安心・安全

  • 高気密な閉鎖型施設内で、人工光源のみを利用して、農薬を使用せずに水耕栽培を行う。

高品質

  • 芯などの食べられない部分を除いたレタスの可食部割合は約97〜98%(想定)。

省エネ

  • 光源には赤色・青色LEDを使用することで、従来型の蛍光灯のみを使用する場合と比較し、消費電力を30%、運用コストを80%に抑制することが可能(想定)。

食料の安定供給・地産地消

  • 生育に必要な温度・光・水・養分などをコンピューター管理し、気候変動に左右されずに生産。
  • フードマイレージ(食料の輸送距離)ゼロ、生産したその場で食べられる地産地消。

<「みらい畑」の施設概要>

外寸法 (屋外設置版)1.8m(幅)×1.8m(奥行)×2.2m(高さ)
外寸法 (屋内設置版)1.4m(幅)×1.8m(奥行)×2.2m(高さ)
光源 LED、蛍光灯
栽培品目 レタス類(レタス、ロメインレタス、フリルアイス等)
ハーブ類(水菜、からし水菜、バジル等)
生産量 80株〜90株/月(予定)

 株式会社みらいは、植物工場専門会社のパイオニアとして数多くの植物工場のハードおよびソフトの技術開発をしてまいりました。植物工場の実績として、民間企業へのシステム導入のほか、自社の植物工場で栽培・収穫した「みらい野菜」を販売展開中、南極の昭和基地でも本技術が正式採用されています。遠隔でのコンサルティングを可能とする技術力を背景に、今後、都市部や商業施設において、規模に応じた小型植物工場を展開してまいります。

 三井不動産グループは、「都市に豊かさと潤いを」というグループステートメントのもと、魅力ある街づくりや住まいづくりを行っています。柏の葉キャンパスにおいては、環境共生・健康長寿・新産業創造の3つを軸とする「スマートシティ」としての街づくりを推進しています。また、地産地消や環境保全につながる都市型農業に着目し、植物工場の活用のほか、商業施設内の屋上農園の設置や、農業をテーマとした地域住民のクラブ活動のサポートなど、生活と農業を結び付ける取り組みを展開しています。

 三協フロンテア株式会社は、目的や用途に応じて空間を柔軟に変化させることで、最適な「機能的空間」を創りだすユニットハウスメーカーです。その用途は、企業の事務所や店舗、イベント施設、応急仮設住宅など幅広く利用されています。ユニットハウスは、容易に移設ができる“モバイル”という機能で、必要な時に、必要な場所に、必要な空間を素早くご提供することが可能です。環境にやさしい“動かせる建築”で、資源循環型社会の実現を目指します。

以上